加賀市が導入した新技術「PASS」の顔認証解錠機能
石川県加賀市が、デジタルID「PASS」に顔認証による解錠機能を追加したことが発表されました。この新しい技術により、スマートフォンや物理的な鍵を使用せずに、顔をかざすだけでドアを開けることが可能になります。このシステムは平常時から災害時における迅速な避難所へのアクセス手段としても期待されています。
背景:高齢化社会におけるデジタル化の重要性
令和4年の統計によると、日本の65歳以上の高齢者は、全人口の29.3%を占めており、これは過去最高の数値です。特に80歳以上の高齢者の中には、デジタル技術に対して取り残されていると感じる人も多く、加賀市のような公共施設では、その利用のしやすさが強く求められています。
この背景を受けて、加賀市イノベーションセンターではさまざまな世代の市民が利用する場となっており、受付や入退室が容易にできる環境づくりが急がれています。そこで登場したのが、「PASS」の顔認証機能です。
新機能概要:顔認証で手ぶら解錠
新たに搭載された顔認証解錠機能は、「PASS」アプリに登録された本人情報をもとに、施設のドアに設置された端末に顔をかざすことで解錠が行われます。これにより、老若男女問わず簡単に使用できるように設計されており、特に高齢者やスマートフォンを持たない方々にも配慮されています。
利用の際には鍵の紛失や閉め忘れといった不安もなくなるため、安全性が大幅に向上します。管理者にとっては、本人確認の厳密さも保持され、不正利用のリスクを減少させることができます。
導入効果:時間を大幅短縮
特に注目すべきは、加賀市イノベーションセンターにおけるこの解錠機能の導入結果です。以前は約1分かかっていた入館手続きが、顔認証によりわずか10秒に短縮されました。このように、大幅な時間短縮を実現することで、多くの人々がスムーズに利用できる環境が整いました。
具体的な活用シーン
この顔認証技術の活用は、災害時や平常時を問わず、多様な場面で期待されています。地域の公民館や集会所、コワーキングスペースなどの利用者が多数いる施設では、運営の効率化や安全な管理が求められており、「PASS」の技術がその解決策となるでしょう。また、避難所や備蓄倉庫への迅速なアクセスも可能にし、特に災害時の重要な要素となります。
「PASS」の特徴と将来性
デジタルIDウォレット「PASS」は、氏名や住所、生年月日、資格情報などを一元管理できるアプリで、今後の公共施設での導入が進むことが予想されます。デジタル田園都市国家構想にも適合し、誰一人取り残されない社会を目指した取り組みとして、他の自治体への導入も期待されています。
このように、加賀市の新たな取り組みは、地方自治体におけるデジタル化の先駆けとして、今後の発展が非常に楽しみです。さらに、ELEMENTSグループが日本スタートアップ大賞2024で受賞したことも表彰における重要な一歩となり、他の地域にも波及効果をもたらすことでしょう。今後の展開に大いに注目が集まります。