農業とブッシュバジル
2025-08-05 11:04:39

ブッシュバジルとインゲンマメの新たな農業の可能性とその研究成果

ブッシュバジルの可能性



東京理科大学の先進工学研究科、生命システム工学専攻の有村源一郎教授を中心とした研究グループが、ブッシュバジルの香り成分がインゲンマメの防御機能を向上させることが明らかになりました。この成果は、害虫による食害を受けた植物が「匂い」を通じて、お互いの防御機能を強化させる「トーキングプランツ」という新たな農業技術への応用が期待されています。

研究の背景と意義



ブッシュバジルが放出する鍵成分「オイゲノール」は、インゲンマメの防御遺伝子を活性化し、重要害虫ナミハダニへの耐性を高めるほか、ハダニの天敵であるカブリダニを引き寄せることが分かりました。このトーキングプランツ現象は、植物が互いにコミュニケーションを取り合い、共存を促進する力を持つことを示しています。これにより、農薬に頼らない有機農業が可能になるのではないかと期待されています。

具体的な研究内容



この研究では、6つのバジル品種を対象に、インゲンマメの防御機能を高める効果を持つブッシュバジルに注目しました。ブッシュバジルとインゲンマメを一緒に栽培することで、インゲンマメの病原性関連タンパク質(PR1)遺伝子が大幅に増加し、その効果が最大7日間持続したという結果が得られました。また、オイゲノールがインゲンマメに与える影響も分析され、特に防御遺伝子発現の上昇が確認されました。

VOCの重要性



ブッシュバジルのVOC、つまり揮発性有機化合物には、インゲンマメの防御機能を誘導するメカニズムが存在します。研究の結果、オイゲノールを通じてサリチル酸伝達経路が特に重要であることが見いだされました。この経路はインゲンマメのハダニに対する防御においても重要な役割を果たしており、植物の染色体の変化と相関しています。この情報は、今後の農業における応用に向けた重要な手がかりとなるでしょう。

実験の結果



さらに、ブッシュバジルと共に育てたインゲンマメと、単独で育てた場合の比較実験を行ったところ、前者ではハダニの雌成虫の産卵数が有意に少なく、強い抵抗性を示したことが分かりました。Y字管実験では、ブッシュバジル近くのインゲンマメがハダニによる攻撃を受けた際、より多くのカブリダニを誘引することも確認されました。この結果、ブッシュバジルのVOCが単に防御遺伝子を活性化させるだけでなく、害虫の天敵を呼び寄せる役割を持つことが示されました。

持続可能な農業への貢献



有村教授は、「この研究は、トーキングプランツの研究を通じて農業分野に実用性を持たせるための基礎を築くものであり、環境に優しい効率的な害虫対策として役立てていきたい」とコメントしました。今後も、研究を進めることで持続可能な農業の実現に期待が寄せられています。

この研究成果は、2025年7月4日に「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載されました。

最後に



ブッシュバジルとインゲンマメの可能性を追求することで、新たな技術開発や持続可能な農業の未来が見えてきました。これからの農業は、単なる栽培にとどまらず、植物同士のコミュニケーションを利用した新たな農業形態が求められる時代になるのかもしれません。


画像1

画像2

関連リンク

サードペディア百科事典: 農業技術 ブッシュバジル インゲンマメ

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。