革新技術が切り開く新しいデータセンターの形
Quantum Mesh株式会社(クォンタムメッシュ)が、液浸冷却システム『KAMUI』(カムイ)を開発し、国内初となる商用化を発表しました。この技術は、データセンター業界に大きな変革をもたらす可能性があります。
KAMUIの仕組みと特長
液浸冷却システム『KAMUI』は、サーバーを冷却液に浸すことで、その熱を吸収する閉鎖循環式の一相式システムです。この方式により、従来の空冷システムと比べて極めて高効率な冷却が可能となります。特に、ENEOS株式会社が提供する『ENEOS IX Type-J』という冷却液を使用することで、冷却効率の向上を実現しています。
現在、データセンター業界ではAI技術の進化や生成AIの普及に伴うデータ処理の需要が高まっていますが、従来の空冷方式では温暖化に伴う電力供給の問題やスペースの不足など、多くの課題が発生しています。その中で、『KAMUI』は約1/10以下の電力で運用できるという点が大きな特長です。具体的には、PUE(Power Usage Effectiveness)も1.03〜1.04と、従来型のデータセンターに比べて約32%も電力を節約することができます。
省スペースでの運用
『KAMUI』は、従来の空調設備を必要としないため、設置空間を従来の1/5〜1/3に圧縮可能です。これにより、大規模な冷却装置や室外機の設置が不要になり、コンパクトなデータセンターの実現が期待されます。また、1台あたり最大16Uのサーバー(2Uの場合、8台)を設置でき、20フィートのコンテナ型データセンターには最大12台の『KAMUI』を収容可能です。
未来のデジタルインフラの構築
Quantum Meshは、今後もKAMUIのさらなる研究と開発を続け、液浸冷却技術の進化を目指しています。また、AIやIoT時代における大量のデータを安全に管理・運用するための新たなデジタルインフラの構築にも取り組む方針です。今回の商用化がデータセンター業界のみならず、様々なビジネスに与える影響は計り知れません。
まとめ
『KAMUI』の商用化は、データセンターの効率性や環境負荷の軽減に大きく寄与する可能性を秘めています。Quantum Meshは、その技術とビジョンを通じて、よりサステナブルな未来の実現に向けて前進しています。今後の展開から目が離せません。