エーザイで行われた認知症対応力向上の研修プロジェクトを解説
2025年3月、テオリア・テクノロジーズと三谷産業は、エーザイ株式会社で「認知症アウェアネス&対応設計研修」を実施し、多くの企業において喫緊の課題となっている認知症に対する理解を深める機会を設けました。研修は、認知症の当事者となった場合の企業内対応について考え、実際的な対応策を議論するものでした。
パートナーシップの背景と目的
日本は急速に高齢化が進んでおり、2025年4月から「高年齢者雇用安定法」が施行され、65歳までの雇用確保が企業にとっての必須課題となります。その中で、特に認知機能の低下が業務パフォーマンスに与える影響は無視できません。テオリアはエーザイのグループ企業として、認知症関連の豊富な研究データとともに、脳の健康管理や当事者支援を一貫して提供しています。一方、三谷産業は、高齢者雇用を促進するための施策に長年注力してきました。この二つの企業が手を組んだ理由は、「働くことを希望するすべての人が活躍できる社会を実現したい」という共通の理念にあります。
共創プロジェクトと研修の内容
研修は2025年6月26日にエーザイで開催され、参加者はエーザイの人事部門や三谷産業の関係者でした。研修は二部構成で行われました。
第一部:認知症アウェアネス研修
この部分では、三谷産業が実際に行った認知症への対応事例を共有し、職場における認知症の認識を深めることを目的としました。参加者は、個々に直面しうる課題についてグループでディスカッションを行い、具体的な問題点を明らかにしました。
第二部:認知症診断後の対応設計研修
若年性認知症支援の専門家から講演を受け、認知症と診断された方の就労継続に必要な施策について議論しました。具体的な対応策を検討するために、参加者同士で意見を交換しながら、企業として何ができるかを模索しました。
研修の意義と今後の展望
エーザイ株式会社のチーフHRオフィサーである真坂 晃之氏は、研修を通じて「具体的な行動に移すことが難しい」と感じた参加者が多かったことを認識するとともに、社員の健康を守るための取り組みが必須であることを強調しました。また、今後は定期的な認知機能チェックや相談窓口の設置が必要だと訴えました。この研修は、人事施策をデザインする上での貴重なフィードバックも提供し、持続的な企業価値改善へとつながる第一歩となりました。
結論
テオリアは今後も三谷産業との協力を深め、「そなえるパッケージ」という脳の健康を意識した雇用モデルを展開していく予定です。これにより、「全ての社員が健康に長く活躍できる社会」を実現し続ける所存です。どのように企業が認知症に関わるべきかを考えることは、今後の日本における重要なテーマであり、企業としての責任を果たすための挑戦が求められています。