アジア太平洋地域のデータセンター市場アップデート2024年下半期
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は、アジア太平洋地域のデータセンター市場に関する最新のレポートを発表しました。このレポートによると、今後の5~7年間で、高まるデータセンターの需要に対して約1,160億米ドルの投資が必要になると予測されています。特に、クラウドコンピューティングやAI技術の進化が、この投資の背景にあると指摘されています。
需要急増と資金繰りの見通し
アジア太平洋地域では、コロケーションデータセンターにおける需要が急激に増加しており、現在建設中または計画が進んでいるプロジェクトのパイプラインは合計12,452メガワット(MW)に達しています。この大規模なプロジェクトの推進には膨大な資金が求められ、建設コストをベンチマークにすると全体で1,162億ドルに上るとされています。C&Wのリサーチ担当責任者、プリーテッシュ・スワミー氏は「アジア太平洋地域の開発パイプラインは、既存の運用能力の3倍に達しており、データセンターの需要は今後も顕著に成長する見込みです」と述べています。
主要市場に集中する資金
特筆すべきは、現在のパイプライン内のメガワットのうち、80%以上が日本、インド、オーストラリア、中国本土、マレーシアの5か国に集中している点です。東京はその中でも際立っており、1,656MWというデータセンターの強力なパイプラインを有しています。
これに続くムンバイ(1,143MW)、ジョホール(1,049MW)、シドニー(783MW)、北京(613MW)などの都市も注目されており、これらの地域ではコストに対する利回りが14%と急上昇しています。アジア太平洋地域の資本市場責任者、ゴードン・マースデン氏は「データセンター開発の年間成長率は20%以上で、このセクターは多数の投資家が注目していることが明らかです」と分析しています。
統合とエクスポージャー
データセンター業界の成熟と共に、統合が進むことも予測されています。過去1年半の間に取引件数が増加したことにより、価格設定が明確になってきているとのことです。特に日本、韓国、シンガポールでは、新たな取引活発化により評価活動が盛んになっているようです。
市場別分析
次に、各市場における開発パイプラインと必要な資本の概況を見てみましょう。日本が2,678MWの開発パイプラインを誇り、約35.44億米ドルの必要資本が見込まれています。一方、インドは2,299MWで16.38億米ドルの必要資本、オーストラリアは1,610MWに対して15.51億米ドルが必要です。
市場 | 開発パイプライン (MW) | 必要資本 (10億米ドル) |
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日本 | 2,678 | 35.44 |
インド | 2,299 | 16.38 |
オーストラリア | 1,610 | 15.51 |
中国本土 | 1,891 | 13.44 |
マレーシア | 1,319 | 11.59 |
このように、アジア太平洋地域のデータセンター市場は急成長を続けており、今後の動向に注目が集まっています。各都市のポテンシャルを最大限活かすための投資が求められる中、データセンターの必要性はますます高まるばかりです。また、詳細な内容はC&Wの公式ウェブサイトに掲載されているので、興味のある方はぜひ確認してみてください。