エクスペリサスの新たな一歩
エクスペリサス株式会社(東京都渋谷区)が、シリーズAラウンドの最後の調達として、5.6億円の資金を確保しました。この資金調達により、同社の累計調達額は12.4億円に達し、富裕層インバウンドを扱うプレイヤーとしての地位をさらに強めることに成功しました。
企業理念と事業展開
同社は「100年先の未来へ、日本中の多様な文化が継承される『仕組み』を創る」という理念の下、持続可能な観光を通じて地方創生を実現することを目指しています。2017年に設立以来、訪日富裕層旅行市場のリーダーに成長するべく、多角的なアプローチを進めてきました。
特に、BtoB型のクローズドECサイト「XPERISUS.com」を立ち上げ、海外富裕層向けの事業を開始。しかしながら、COVID-19の影響で一時的に海外事業は停滞しました。この困難な状況を逆手にとり、国内富裕層や法人向けのサービスにシフトし、官庁や自治体へのアプローチを強めました。
このようにして形成された8,000社以上の旅行会社ネットワークを駆使し、全国各地で高付加価値な体験を展開することができる体制が整いました。結果として、2022年5月期には前年同期比400%の成長を記録。日本の観光業界において、エクスペリサスは重要な役割を果たし続けています。
富裕層市場に注目する理由
現在、日本の観光市場は回復基調にありますが、特に富裕層の需要が急速に高まっています。2025年に発表された国土交通省の調査によれば、富裕層は訪日旅行者全体の約1%しかいないものの、その消費額は約14%を占めています。このような数値からも、富裕層の影響力が大きいことが見て取れます。
リピート率が高く、滞在日数が長いことが特徴の富裕層旅行者は、地域経済にとって非常に重要。観光公害が懸念される中、質を重視したこのアプローチが地方創生に寄与する方法として、エクスペリサスは注目されています。
今後の展望と資金の使い道
今回の資金調達により、エクスペリサスは以下の3つを優先的に進めます。
1.
海外マーケティングの強化: 欧米やアジアの富裕層市場へのアプローチを拡大し、のべ投資が見込まれる。
2.
地方観光資源の価値向上: 自治体や観光業者との協力のもと、地域独自の高付加価値体験を創出。
3.
プラットフォームの強化:「XPERISUS.com」の機能充実と、顧客管理や多言語サポートの強化。
これらの施策を通じて、さらに成長することを目指します。今後は、AtoA(AI Agent to AI Agent)技術の導入を視野に入れ、効率的な観光サービスの提供を予定しています。
まとめ
エクスペリサスは、地域を支え、文化や伝統を伝えるビジョンを持つ企業です。今回の資金調達は、同社が提唱する富裕層観光と地方創生の新たなフロンティアを広げる一歩となります。地域経済を活性化し、次世代に多様な文化を継承するために、エクスペリサスから目が離せません。今後の展開が楽しみです。