生成AIが変える地域医療の未来
2026年7月30日から31日、東京で開催される「Google Cloud Next Tokyo」。この重要なカンファレンスにUbie株式会社の医療機関事業本部長である西村里穂氏が登壇し、生成AIを用いた新たな地域医療構想について講演を行いました。このセッションは特にヘルスケア業界に向けたものとして、大きな注目を集めています。
生成AIの今と未来
西村氏は彼女の講演で、生成AIが揺るがす従来の医療現場の枠組みについて言及しました。彼女の見解によると、従来のシステムは「問診」や「記録」といった個別のタスクを効率化することに留まっており、タスク間の判断は依然として人間に依存しているといいます。このような課題の背景には、患者情報が散在することや業務の流れが暗黙的に決まっていること、さらにシステムのカスタマイズの難しさがあると説明しました。
生成AIは、このような問題を解決する手段となる可能性を秘めています。電子カルテや多様な形式の情報を読み取り、患者の全貌を把握する能力を持つことで、これまで人手に頼っていた判断をサポートすると述べました。その結果、業務全体を見越した「病院DX」の取り組みが可能になると期待されています。
医療従事者自身が創るDX
さらに西村氏は、医療DXの進化における新しい思想について語りました。「ツールを導入して終わりにするのではなく、現場が作るDX」が鍵となるという彼女のメッセージは、医療従事者が自ら新たなワークフローを構築することの重要性を説けるものです。Ubieの生成AIを導入した病院では、平均して100以上のワークフローが現場の医療従事者によって開発されているとのこと。
また、患者データの統合と現場の体験を一体的に設計する重要性にも言及しました。これは、単独の企業だけでは達成できず、業界全体が協力して進めるべきテーマであると強調しました。
地域医療DXへの道
講演の最後には、地域医療への展望についても触れました。西村氏は、地域医療とは「生活・発症・治療・回復」というペイシェントジャーニーに基づく業務の積み重ねであるとの理解を示し、このような理念は病院DXの実装と共通点が多いと語ります。
地域医療DXは単にシステムを一斉導入するのではなく、多職種や施設がそれぞれ独自にワークフローを作り上げることが求められます。その結果、各地域の特性に応じた柔軟な対応が可能となるのです。地域医療基盤を生成AIで補完することによって、新しい医療構想を実現したいとの意欲も表明しました。
西村里穂氏のプロフィール
西村里穂氏は、Ubie株式会社の創業時にビジネス職メンバーとして参加し、AI問診や生成AIの事業展開を推進してきました。京都大学大学院を卒業後、理学療法士として病院での実務経験を経て、生成AI×医療の社会実装に力を注いでいます。
彼女のビジョンは、医療技術を駆使して全人的医療の実現を支えることです。AIが進化する未来において、どのように地域医療が変わっていくのか、その展望に期待が寄せられます。
以上の内容は、Ubieがめざす医療のDX化に向けた取り組みと、それによって新たに開かれる地域医療の未来を示しています。