港区に誕生した新たな「ひきこもり支援のメタバース居場所」
東京都港区が2025年8月に開設した「ひきこもり状態の方のためのメタバース居場所」が話題を呼んでいます。この取り組みは、大日本印刷(DNP)の「メタバース役所」を活用しており、心理的ハードルを下げて他者と交流できる環境を提供しています。
メタバースの活用による新しい居場所の提供
「メタバース居場所」は、ひきこもり状態にある方々が気軽に他者とつながるための特設空間です。心理的な抵抗を少しでも軽減し、交流を推進するためにデザインされています。アバターを通しての交流が可能なこの空間では、季節感豊かな景観が演出されており、リラックスして参加できるよう工夫がなされています。また、多様なコミュニケーションツールが常設されているため、それぞれの利用者が自分に合った形での参加が可能です。
この取り組みは、ひきこもりの方々が他者とのつながりを感じ、孤独感の解消への第一歩をサポートすることを目的としています。DNPは、望ましい社会的参加の実現を目指して、この新しい居場所を通じて、様々なバックグラウンドを持つ方々が安心して交流できる環境を整備しています。
季節感を感じるデザインとセキュアな環境
このメタバース居場所では、利用者のリラックスを重視した空間デザインが施されています。自然をテーマにした家具配置や、春の桜、夏の若葉、秋の紅葉、冬の雪など、季節の変化を感じられる環境が特徴です。利用者が気軽に訪れたくなる開放的な空間が魅力です。
さらに、多様な利用者が安心して交流できるよう、セキュリティ機能や攻撃的な表現の未然防止機能も搭載されています。「エモーション機能」を活用することで、利用者の感情を視覚的に表現することも可能です。これにより、安心できる環境を確保しつつ、利用者同士のコミュニケーションを円滑に進めることが目指されています。
アバターの多様性と個別相談室の設置
「ひきこもり状態の方のためのメタバース居場所」では、男女問わず20種類のアバターが利用できます。利用者は自分自身に合ったアバターを選び、自由に自己表現を楽しむことができます。さらに、個別相談室も設置されており、利用者一人ひとりのニーズに応じたサポートを行うことが可能です。これにより、心理的安全性が高まり、より多くの方々にご利用いただくことが期待されます。
今後の展望
DNPは今後も、自治体と協力しながらメタバースを用いた公共サービスの拡充に努めていく方針です。電子申請手続きや住民交流の場など行政サービスを仮想空間に移行し、デジタル社会の実現を目指しています。こうした取り組みを通じて、誰一人取り残されない社会を築いていくことを目指します。
この新しいメタバース居場所は、外に出ることが難しい方や、他者と交流したいけれどためらってしまう方々に、安全で心地よい場を提供しています。
今後も、この取り組みが多くの方々に広がり、より多くの人が孤独を和らげ、社会とのつながりをめざせることを期待したいと思います。