日本ゼオン、氷見二上工場で新生産ラインの増設を決定

日本ゼオン株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：豊嶋哲也）は、富山県氷見市に位置する氷見二上工場で、大画面液晶テレビ向けの位相差フィルム製造ラインの増設工事に着手することを発表しました。この新たな生産ラインは、液晶パネルの大画面化の進展に対応するもので、世界最大レベルの3,000mm幅のフィルムを生産します。量産開始は2027年の夏を目指しており、ゼオンの生産能力は約20%増加し、年間26,400万㎡に達する見込みです。

2025年12月15日に行われた起工式には、富山県および氷見市の来賓をはじめ、工事関係者やゼオンの関係者44名が出席し、安全祈願が行われました。新たなラインの設立は、業界全体のニーズに応えるべく重要なステップと位置付けられています。

ゼオンの光学フィルムであるゼオノアフィルムは、独自のポリマー設計技術を駆使して開発された熱可塑性プラスチック（シクロオレフィンポリマー、略してCOP）を原材料としており、世界で初めての溶融押出法により製造されています。このフィルムは、卓越した光学特性と寸法安定性を備え、多くの大型テレビやモバイル端末のディスプレイ用途において、視野角補償や反射防止機能を提供しています。

新しい生産ラインでは、年間4,500万㎡の生産設備を導入し、急速に高まる液晶テレビの大型化ニーズに応えます。これにより、ゼオンは新しいビジネスチャンスを捉え、さらなる市場シェアの拡大を図る計画です。量産開始の準備が進められる中、操業人員の確保も進行中です。

ゼオンは、今後の中期経営計画「STAGE30 第3フェーズ（25-28年度）」において、「モビリティ」「医療・ライフサイエンス」「情報通信」「GX」といった成長分野を掲げています。特に、COP製フィルムは事業の成長の原動力として重要視されており、優れた材料特性に加え、「樹脂からの一貫生産」や「複数の生産拠点による供給の安定性」を強みに、さらなる事業拡大を目指しています。

この新しい生産ラインの増設は、ゼオンが持つ技術革新の表れであり、今後の液晶テレビ市場の進展に寄与することが期待されます。さらなる技術開発が進むことで、消費者の期待に応える高品質な製品を提供し続けることが、ゼオンの使命であり、未来の展望です。