香りがつなぐ、新たな地域体験
香りは心に残る印象を与え、私たちの記憶と深く結びついています。東京に拠点を置くSCENTMATIC株式会社が開発したAIシステム「KAORIUM」は、この嗅覚を用いて地域のストーリーを紡ぐ新しい試みを提案しています。
2025年1月24日から26日にかけて開催された、山口県立大学の「地域デザイン展2025」では、学生たちが地域資源を活用したデザイン作品を発表しました。この展覧会でKAORIUMが果たした役割は、香りのデジタル化を通じて山口県の魅力を再発見させることです。
地域資源と香りの融合
山口県立大学は地域の文化や資源を探求し、地域デザインに関する教育を行っています。「地域デザイン展2025」では「地域文化の創造と発信」がテーマとなり、学生や教員による地域資源を活用したデザイン作品が多く展示されました。
この度の展示では、山口県の伝統的な産業や文化を思い起こさせる香りを創出しました。特に「大内人形」や「瑠璃光寺」を基に、思い描く香りを学生たちがAI KAORIUMを用いて言語化。各作品はムエットとして形にされ、香りの新たな展開方法が探求されました。これにより、訪れる人々は五感を通じて山口を再発見することができたのです。
創造的なアプローチ
このプロジェクトでは、山口情報芸術センター(YCAM)とのコラボレーションも実施され、地域に根付いた香りをイメージした絵画の制作も行われました。香りと視覚芸術が融合することで、地域の文化への理解が深まります。嗅覚の印象は奥深く、山口の文化や景観を思い出させる強力なツールとなり得るのです。
KAORIUMの技術背景
KAORIUMは、香りと言葉の双方向性を持つAIシステムであり、曖昧な香りの印象を言語化し、逆に言葉から香りを導き出すことが可能です。香りを意識的に楽しむことで脳の両半球が活性化し、想像力を広げるきっかけを提供します。このような体験は、香りの分野に留まらず、飲食体験や商品選びに新たな価値をもたらすことが期待されています。
今後の展望
セントマティックは、KAORIUMを駆使して、今後も地域の魅力を嗅覚を通じて伝える数々のプロジェクトを展開していく予定です。地域資源をもとにした新しい体験価値を創造することで、地域振興に寄与することが目指されています。
設立からわずか数年で成長を遂げたセントマティックが、香りと心を結ぶ新たなシナジーを創出し続けることが、これからの地域文化の発展にどのように貢献していくのか、目が離せません。
詳細は公式サイトをご覧ください:
SCENTMATIC株式会社