社会的価値と収益性を両立する「QOLファンド」の誕生
日本初の社会的インパクト不動産ファンドである「QOLファンド」が、2025年6月30日に組成されました。このファンドは、株式会社プロフィッツとA.P.アセットマネジメント株式会社によって設立され、芙蓉総合リース株式会社や三菱UFJ銀行などの大手企業も出資しています。ファンドの主要なテーマは「Quality of Life」、つまり生活の質の向上です。これにより、社会的価値と収益性を両立させることを目指しています。
背景:ESG分野での新たな試み
これまでの不動産業界では、ESG投資が環境への対応に偏っており、社会的要素の評価が不足していました。その中で、プロフィッツとAPAMは2020年から「保育園みらいファンド」というプロジェクトを開始し、待機児童問題の解決を進めています。このような活動を通じ、社会的なニーズに対応し、実績を積んできました。「QOLファンド」は、その知見をもとに、社会的インパクトを計測しやすいファンド設計を実現しました。
特徴:収益性と社会的価値の融合
「QOLファンド」は、保育園、賃貸住宅、シェアオフィス、ホテルの四つのアセットを組み合わせています。これにより、安定した収益を確保しつつ、インフレにも強い構造を持っています。また、ESGの社会的評価指標に関しては、国土交通省が設けた「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンスを利用しており、透明性の高い評価が行われます。国土交通省からの支持もあり、今後のさらなる発展が期待されています。
出資企業の期待
多くの企業がこのファンドに共感して出資しており、収益性の高い投資先を求めています。非財務情報の開示が重要視されている今、持続可能な開発目標に沿った具体的な取り組みは、企業の信頼性を高める一助となります。また、出資企業は社会的インパクトの評価や測定にも貢献することを期待されています。
今後の展望
「QOLファンド」は、2026年3月に新たなファンドを250億円規模で組成する予定です。今後の3年間には、総額700億円のシリーズ化を目指しており、不動産業界における新たな資本運用のモデルを確立し、循環型の経済モデルへと進化することを目指しています。これにより、官民が協力し、さらなる社会的価値を生み出すための施策が継続的に行われる予定です。
まとめ
「QOLファンド」は、日本における社会的インパクト投資の新たなスタンダードを創出する重要なステップです。企業や金融機関は、社会的価値を測りながら、持続可能な成長を目指しています。今後も、社会のニーズに応え、持続可能な事業運営を実現するための取り組みが続くでしょう。このファンドの設立は、社会的価値と経済的利益の両立が可能であることを示す象徴的な事例であり、他の不動産関連プロジェクトへの波及効果を期待できます。