医療の現場から伝える「人生の最終章」
2026年4月24日、広島グリーンアリーナにて開催された「第56回MDRT日本会大会」に、医療法人社団焔の理事長、安井佑氏が登壇しました。今回の大会のテーマは「『志』for you」。約5,000名のMDRT会員が参加し、彼らの仕事の意義を再確認する場となりました。
MDRT(Million Dollar Round Table)は、生命保険および金融サービスの専門家たちが集まる国際的な組織で、安井氏はその中で「人生の最終章を温かい物語に変える医者」と自らを称しました。
安井理事長の講演内容
安井氏は、死の概念を「一人称(自分の死)」「二人称(家族や友人の死)」「三人称(その他の人の死)」の三つに分類し、特に「二人称の死」に焦点を当てました。彼の個人的な背景—17歳での父の死から生まれた「後悔」と、ミャンマーでの国際医療支援で得た「生死」の洞察—が彼の医療へのアプローチに影響を与えていることを強調しました。
日本は「多死社会」と呼ばれ、年間160万人が亡くなる時代において、死をどのように捉えれば良いのか、社会全体で考える必要があると彼は訴えました。
最終章を「いい時間」に変える提案
安井氏は、自著『大切な人が亡くなる前に あなたができる10のこと』から、最終章を「いい時間」にするための具体的な二つの提案を行いました。まず一つ目は、
大切な人に「触れる」ことです。身体に触れることで得られる心理的なつながりが、痛みの緩和にも繋がるとの研究結果も紹介しました。彼は「どこでもいいから手を当ててほしい」と、積極的なコミュニケーションを促しました。
次に、
「自宅に戻る」時間を設ける重要性についても話しました。病院を離れて日常の空間に身を置くことで、患者自身が人生の舵を取り戻せると述べました。安井氏が13年前に在宅医療を始めた際には、自宅で最期を迎える人は1割以下でしたが、現在では約3割に増加しています。
医療者としての役割
安井氏は、MDRT会員にしかできない役割として、病気や老いと向き合う家族に対して、具体的で優しい言葉をかける重要性を述べました。「一度家に帰ってみては」「触れてみては」という言葉が、老いた家族にとっては大きな支えになると極めて重要視しました。
また、亡くなる場面でのコミュニケーションの大切さも語られました。家族への想いを言葉にすることで、その後の人生を豊かにする可能性が生まれると彼は信じています。
まとめ
講演の最後に安井氏は、「私たちは死に向き合う仕事をしている。その中で、生命保険に関わる皆さんも同じ使命を持っている」と締めくくりました。160万人以上の死があるこの社会だからこそ、一つひとつを温かい時間にしていくために、今後も多くの人々に向けたメッセージを発信していくことでしょう。
書籍情報
関連書籍として、安井氏の著書『大切な人が亡くなる前に あなたができる10のこと』が2026年3月18日に発売されます。この一冊では、特に家族が直面する様々な問題を解決するための具体的な方法がケアとともに紹介されています。これは、地域医療や介護サービスの活用法に関しても情報が満載です。
安井佑の講演と理念は、医療だけでなく、私たち一人ひとりが「死」という現実に向き合うための勇気を与えてくれます。