乳がんリスク予測AI「Mirai」の新たな挑戦
2025年11月27日、東京での発表において、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のMIT Abdul Latif Jameel Clinicが国立がん研究センター中央病院と手を組み、革新的な乳がんリスク予測AIモデル「Mirai」の評価を始めることが明らかになりました。この共同研究は、約5年間の将来の乳がん発症リスクを高精度で予測するために、マンモグラフィ画像を用いた膨大なデータを分析します。
本研究は、ジャミール商事及びCommunity Jameelの支援を受けて進められます。Miraiは、日本国内及び世界的に広がる医療分野で、すでに223病院で200万件以上のマンモグラフィ画像を用いて効果が検証されています。
今後は、日本人女性の特有のデータを用いて、「Mirai」の乳がんリスク予測精度をさらに検証します。この研究で収集されるデータは2013年から2024年までに集められたもので、結果を実際の診断と照らし合わせることで、日本における精度や信頼性を評価するのが狙いです。
乳がん検診の重要性
乳がんは日本の女性に最も多く見られるがんであり、全女性がんの約23%を占めています。毎年、約16,000人がこの病気で命を落としていますが、早期発見ができた場合、5年間の生存率は90%を超えると言われています。そのため、マンモグラフィ検診の重要性は増しており、40歳以上の女性には2年に1回の受診が推奨されています。
画像診断の分野では、マンモグラフィによる発見が不可欠ですが、視覚評価に依存するため、医師の経験に左右されることもあります。そこで「Mirai」を導入することで、個々のリスクに基づく診断精度の向上が期待されています。
研究結果の期待
本共同研究の成果は、乳がん検診の質の向上につながることが期待されます。具体的には、高リスク患者への適切なフォローアップ、低リスク患者への無用な検査の削減など、個別化医療の実現を目指しています。この研究では、将来的にはAIを用いた新しいリスク層別に基づく乳がん検診が普及することを狙っています。
Community Jameel創設者のMohammed Jameel KBE氏は、このプロジェクトの意義を強調し、世界中の女性の健康を支えるための取り組みであるとしています。国立がん研究センターの長である瀬戸泰之氏は、過去のデータを元に未来のリスクを予測することの重要性を語り、この国際共同研究に対する意気込みを示しました。
結論
MIT Jameel Clinicの教授、Regina Barzilay氏は、「Mirai」が提供する将来の乳がんリスク予測の革新性に期待を寄せています。この共同研究が日本における乳がん検診や治療アプローチに新しい視点をもたらし、医療の質向上に寄与することでしょう。これを通じて、より多くの女性が健康的な未来を実現できることが期待されています。ジャミール商事も本研究を支援し、医療発展に貢献していく姿勢を明らかにしています。