未来の住まいに寄せられる不安と今の居住満足度～50代以上のシニア調査結果から見えてくるもの～

住まいに対する意識とリフォーム意向:シニアの実態調査

50代以上の女性521人を対象に行われた「住まい・暮らしに関する意識・実態調査」により、シニア世代の住まいに対する意識が明らかになりました。調査結果からは、現在の住まいには約75%が満足しているにもかかわらず、未来の住まいに対しては55%が「不安を感じている」と回答しています。

住まいの現状と将来における不安

調査によると、シニア世代の半数以上が将来の住まいについて不安を抱えています。具体的には

- 「不安がある」16.5%
- 「やや不安がある」38.8%

このような不安の理由としては、家屋や排水管の老朽化、自然災害の影響などが多く挙げられていました。一方で、現時点での住まいに「満足している」という回答は31.5%、また「まあ満足している」という人が43.8%と、総じて75%の人が今の住まいに満足感を得ていることが示されています。これには年代別の違いもあり、年齢が上がるほど不安の割合は減少する傾向にあります。

今後の居住意向:健康と安全の選択肢

未来の住まいに対する希望として、「健康な間は今の住まいに住み続けたい」という意向が40.9%、そして「死ぬまでずっと今の住まいに住み続けたい」という意向が39.2%と接近しています。特に70代の高齢者では、「死ぬまで住み続けたい」という意向が過半数を占めています。

また、高齢者向けの施設への入居希望は全体で14.2%と比較的少数で、シェアハウスに対する理解や期待も広がりつつあります。シェアハウスは、気の合う仲間と一緒に暮らしながら安心感を得られるため、「一人暮らしよりも安心」という意見が広がっています。

単独世帯の増加とリフォームへの関心

調査では、3年以内にリフォームを希望する人は1割弱で、リフォーム予算は407.9万円という結果が出ています。年代別では、60代がリフォーム希望者と平均予算がともに高く、住居設備の老朽化が影響していることが分かります。自宅のリフォームは身体的な負担を減らすことにもつながり、生活の質向上が期待されています。

防犯対策の現状と課題

住まいの防犯対策に関しては、56.4%の人々が防犯対策を実施している一方、38.8%はなぜ防犯対策をしないのかという理由として、情報不足やコスト、さらには楽観的な考え方が挙げられています。特に高齢者世代は外的要因に対して脆弱な状態にあるため、より積極的な情報提供と支援が求められます。

専門家の見解:多様化する選択肢

ハルメク生きかた上手研究所所長の梅津順江氏は、シニア世代の住まい方や選択肢が多様化していることを指摘しています。住まいの在り方に関しても、「今の住まいの満足度は高いが、将来に向けた不安と向き合う必要がある」と強調しています。近年では、シェアハウスも選択肢の一つとなりつつあり、老後に対する不安を軽減する新しい形の住まいが求められています。