タイトル: 触感を通じて広がるコミュニケーションの世界
7月3日、パルシステム共済生活協同組合連合会の本部で、「触覚で遊ぶワークショップ」が開催されました。このワークショップは、視覚障害を持つ人々にとって重要な「触感」を学ぶ機会を提供し、地域社会の共生の理解を深めることを目的としています。
参加者は、ユニバーサル絵本ライブラリーUniLeafの大下利栄子代表の指導により、アイマスクを着用して視覚を遮断した状態で、触覚にフォーカスしたアクティビティを行いました。最初の演習では、ランダムに選ばれた立体的な模様のカードを手探りで探し合うことで、視覚に頼らないコミュニケーションの大切さが体感できました。参加者からは、「右手と左手では感じる感覚が全く違う」「見れば明らかに異なるのに、触ると同じに感じることがある」といった声が上がり、触感の多様性に驚きを覚えた様子でした。
次のセッションでは、点字の仕組みについての説明を受け、実際に点字の本にも触れてみる機会がありました。点字行を辿ることで、指先の感覚を研ぎ澄ます挑戦がありました。大下さんは、「視覚がない状態でも、点字を理解することで多くの知識を獲得できる」と伝え、共に暮らす人々が工夫し協力すれば、多くのことが実現可能であることを強調しました。
また、日常生活の中で指先から得る触感を意識することが少ないこと、そして視覚障害のある人とのコミュニケーションを工夫することの重要性を参加者は実感しました。この体験を通じて、各参加者は自組織での報告を行い、地域でのワークショップの開催を企画する意向を示しています。
体験で深めるつながりと相互理解
ワークショップで用いられたユニバーサル絵本は市販の絵本を解体し、その内容を点字で記載した透明シートを挟んで再製本されたものです。こうした絵本は、視覚障害者とそうでない人が共に楽しみ、互いの世界を理解するために全国の教育機関などに貸し出されています。大下さんは、自身の娘が白い本を持って点字を楽しんでいる姿を見て、自分とは異なる世界を感じ、ユニバーサル絵本の制作を決意しました。
大下さんは、旅行先で触ることのできる観光名所の模型を発見し、「見えない人とも観光の楽しさを分かち合いたい」と考え、地域での体験を提供するために「建長寺さわる模型」プロジェクトを実施しました。このプロジェクトもパルシステム共済連の助成金制度「ささえあい基金」の支援を受けて実現しました。
今後の地域活動への期待
ワークショップは、視覚に頼らない情報伝達の手段として触感の重要性を認識させるきっかけとなりました。体験を共有した参加者同士のつながりが、今後の地域活動に期待を寄せています。パルシステムグループは、互いに助け合い、誰もが暮らしやすい地域づくりを目指し続けることを誓いました。
現在、「ささえあい基金」は、障害者や生活に困難を抱える人々、社会的孤立を防ぐための支援活動を行う団体に対して助成金を提供しています。2024年度には、23団体へ1,000万円の助成が決定しており、地域に根ざした支援活動がますます重要視されています。パルシステムの活動は、これからも多彩な立場の人々と協力し、持続可能な地域共生社会の実現を目指して邁進します。