2024年度新卒採用の現状と企業の対策
近年、物価の上昇や人手不足の影響により、新卒採用の現場は変化の渦中にあります。特に2024年度においては、企業が直面する課題が明確になってきました。企業の賃上げが急速に進む中で、採用活動もそれに伴い変化が求められています。そこで、株式会社PRIZMAが実施した「2025年版|企業規模別新卒採用の現状と傾向に関する調査」の結果をもとに、採用基準や活動の変化を探ります。
採用基準の変化
a.
即戦力の重要性
調査で最も多く寄せられた回答は『即戦力としてのポテンシャルを重視するようになった』で、46.4%がこれに該当しました。即戦力を求める傾向は、インターンシップの普及なども影響していると考えられます。
b.
デジタルスキルの重視
デジタル技術の進展により、デジタルスキルを重視する企業が40.6%に上っています。この傾向は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が採用基準に影響を与えていることを示しています。
c.
多様性への配慮
多様性を重視する企業も増加しており、33.0%がそのように回答しています。企業が求める人材像は、学歴や専攻から、実務能力や適応力へとシフトしています。
採用活動の早期化
調査によれば、企業規模が大きくなるほど採用活動開始時期が早まることが明らかになりました。51~100人規模の企業より小規模企業では、今なお26卒(大学3年生)を対象にした活動が主流です。この結果は、優秀な人材の早期確保が必要不可欠であることを示しています。さらに、多くの企業が大学2年生を対象に春から採用活動を開始する傾向が見られます。
採用単価の上昇
採用単価に関する質問では、53.3%の企業が「上がっている」と回答しました。この増加は、新卒採用における競争の激化や、広告費の増加が影響しています。特に、501人以上の企業では採用単価が100万円を超えることもあり、その傾向は強まっています。
賃上げの影響
賃上げが初任給に与えた影響についての調査では、多くの企業が『初任給が上がった』と回答しています。特に大手企業では、この傾向が顕著であり、501人以上の企業で68.7%が引き上げを実施しました。このように、本質的な賃上げが求められる中で、大手企業はその待遇を用いた採用競争を展開しています。
採用の難易度上昇とその理由
新卒採用の難易度については、64.4%の企業が「難しくなった」と感じています。この要因として、少子化による求人数の減少や学生の大企業志向が挙げられます。学生の意識が変化する中で、企業は魅力的な職場環境を提供し、独自の特徴を打ち出す必要が増しています。
最新の採用戦略
激化する採用競争の中で、企業はさまざまな施策を展開しています。例えば、インターンシップの開催や、給与の改善、産学連携によるリクルーティングなどです。企業が求める人材をどう引き寄せるか、その戦略の構築が非常に重要な時期に来ています。
まとめ
新卒採用市場は、採用基準の変化や早期化、賃上げ、競争の激化といった多くの課題に直面しています。企業は柔軟な戦略と自社の魅力を発信することが求められる時代になってきているため、今後の採用活動にはさらなる創意工夫が必要とされます。