岡山大学が実現した超高速キラル光の制御技術
岡山大学の異分野基礎科学研究所が、分子の右手型と左手型の違いを見分ける
キラル光を超高速で切り替える技術を実証しました。この成果は、今後の医薬や材料科学、生命科学において非常に重要な基盤となります。研究を主導した三澤弘明教授は、中国の東南大学や北京大学との国際共同研究を通じて、分子サイズの非常に小さなポイントにおいて光の状態を制御することに成功しました。
技術の背景と重要性
分子の左右の違い、すなわち鏡像異性体は、生体における薬効や物質の特性に大きな影響を持ちます。しかし、これまでこのような分子サイズの領域で光を扱い、その性質を超高速で切り替えることは難しい課題でした。今回の研究では、単一の金ナノアンテナ内部で発生する光の振動を重ね合わせることで、分子サイズの局在性と超高速な切替を同時に実現した点が革新的です。
研究の実証内容
研究チームは、ナノアンテナに照射した同じ超短パルス光を2本に分け、それぞれの光が到達する時間差を調整することで、右回りと左回りのキラル光を迅速にON/OFFすることを示しました。この技術により、分子の微細な違いを瞬時に観察できる可能性が広がります。具体的には、超小型で高感度なセンサーや、キラルな光を生成するスイッチが期待されており、新たな医療や環境測定への応用が進むことでしょう。
今後の展望
三澤教授は、今回の研究成果が将来的にはキラル分子を高感度で調べる技術や、超小型・超高速の光スイッチの開発に結びつくことを期待しています。医薬品や新素材の開発において、この技術がもたらす影響は計り知れません。また、分子操作に関する新たな視点を提供することで、より高機能な物質の創造に寄与することが見込まれています。
研究の発表と資金
この研究は、2026年2月28日に米国化学会の学術誌「ACS Nano」に掲載され、岡山大学から公式に公開されました。また、本研究は科学研究費補助金やJSPSのプログラム支援を受けて実施されるなど、さまざまな科研費によって後押しされています。
岡山大学の異分野基礎科学研究所が展開するこの革新的な研究によって、分子科学の新たな地平が開かれることが期待されており、世界的な研究の流れにおいても重要な位置づけがされるでしょう。未来の科学技術の進展に向けて、今後も目が離せません。