2025年大阪・関西万博での持続可能な展示設計の取り組み

2025年の大阪・関西万博が近づく中、新たな展示のアプローチが注目を集めています。株式会社ナカダイホールディングスの子会社、株式会社モノファクトリーが実施する本プロジェクトは、持続可能な資源循環をテーマにしています。具体的には、展示物の設計段階から資源循環を考慮し、廃棄物を切り捨てるのではなく、リサイクル可能な方法との結びつきを強化する試みです。

経済産業省のテーマウィークとの協働

モノファクトリーは、2025年9月23日から29日まで開催される「科学漫画サバイバル」シリーズに協賛し、経済産業省主催の「サーキュラーエコノミー研究所」にて展示設計の支援を行います。このテーマウィークは、循環経済について楽しく学べる機会であり、モノファクトリーはそのデザイン設計に直接関与しています。展示物の選定からリサイクル業者の選定まで、一貫した支援が行われる予定です。

具体的な取り組み内容

1. 素材の選定
デザイン設計の初期段階から、再資源化が容易な素材を選定し、それを展示物製作に反映するアプローチが採用されています。これにより、展示物が持続可能な形で扱われることを目指しています。

2. リサイクルフローの構築
解体後に確実に再資源化できるように、事前にリサイクルの流れを確立し、適切なリサイクル業者の選定についても支援がなされます。デザインからリサイクルへと流れを確保することで、全てのプロセスがスムーズに行われるようになります。

3. 結果の可視化
「Circular insight」を活用して、展示物が循環経済にどのように寄与しているかについて定量的な評価を行い、その結果を可視化します。これにより、参加者に対して循環経済の重要性がより明確になるでしょう。

4. 動静脈の連携
展示終了後には、設計段階での動脈と回収・リサイクル段階での静脈をつなぐ実証も行われる予定です。この動静脈の接続によるスムーズな循環フローの確立は、今後の展示産業におけるモデルケースとなることが期待されています。

新たなビジネスの展開

このプロジェクトに参加する企業として、RadarLab株式会社と株式会社サトーがあります。RadarLabは、展示物にデジタル製品パスポートを付与し、素材情報やリサイクル方法を記録する役割を担います。一方、サトーは他の企業と連携し、展示物の解体・搬出・リサイクルプロセスを情報化するトレーサビリティシステムを構築します。

従来の課題に挑む

展示産業では、多くの展示物が万博終了後に廃棄されるという課題が以前から指摘されていました。この新たな取り組みは、従来の「展示終了後に処理方法を検討する」という手法から、設計段階から循環型モデルを組み込むことにシフトしています。このことにより、持続可能な展示方法を模索する重要な一歩となるでしょう。

社会的意義と今後の展開

国際的な舞台である万博において、この循環型展示のモデルケースを示すことは非常に大きな意味を持ちます。今回の取り組みが成功すれば、展示産業だけでなく、幅広い分野にも応用可能なため、循環経済の実現に向けた重要な前進となるでしょう。

モノファクトリーはこの結果を元に、万博終了後にもプレスリリースを通じてさらなる情報発信を行う計画です。将来的には、展示会やイベント全般において「循環を前提とした設計」が標準的なものとなる社会を築くことを目指しています。