岡山大学が明らかにしたショウジョウバエの脳の体内時計
2024年12月5日、岡山大学の研究チームが発表した研究成果が学術界で注目を集めています。本研究は、ドイツのヴュルツブルク大学やアメリカのネバダ大学リノ校との国際共同研究により、キイロショウジョウバエの脳内に存在する時計細胞の数やその神経回路の全容を解明したものです。
体内時計を構成する約240個の時計細胞
研究によると、ショウジョウバエの脳には約240個の時計細胞が存在し、これらがどのように相互に接続されているかのネットワークが明らかになりました。これによって、体内時計の機能を司る神経回路が具体的に理解できるようになったのです。吉井大志教授(岡山大学)は今回の成果について、「脳で約24時間のリズムがどのように生み出されるのか、その時間情報はどこに運ばれるのか、その配線図が完成しました」とコメントしています。
シナプス結合の解明
本研究が特に画期的なのは、時計細胞同士のシナプス結合がほぼ完全に解明された点です。この接続を知ることで、どの時計細胞が他の神経細胞に接続され、体内時計を制御しているのかが明らかになりました。これにより、動物の体内時計の理解が一層深まることが期待されます。
今後の研究への期待
ショウジョウバエは神経細胞の数が限られた生物であるため、今回の研究成果をもとに、より複雑な脳を持つ動物における体内時計の研究が進むことが期待されています。著書の論文は、著名な英国の科学誌「Nature Communications」にも掲載され、特に注目を集めています。
体内時計の重要性
体内時計は生物が24時間周期で行動を調整するために不可欠な役割を持っており、睡眠や食事、ホルモンの分泌など多岐にわたる生理現象に関わっています。これまで多くの動物においてもその存在が知られていましたが、神経回路の具体的な理解は不足していました。今回の研究により、体内時計の神経科学の分野において、新たな知見が得られたと言えるでしょう。
研究成果への支援
本研究は、独立行政法人日本学術振興会の科学研究費助成事業の支援を受けて行われました。吉井教授は研究を行う中で、「体内時計の新しい時代の幕開けに関われたことは誇り」と語っています。この研究成果は、今後の様々な研究や学術活動に大きな影響を与えることが期待されています。
まとめ
岡山大学の研究チームがショウジョウバエの脳における体内時計の謎とその神経ネットワークを解明したことは、脳科学の発展に寄与する重要な成果です。今後の研究がさらに進むことで、体内時計の理解が深まり、新たな医療や生物学の進展が期待されます。あらゆる生命に共通する体内時計の仕組みを探る道筋が示されたこの成果に、一層の期待が寄せられます。