イプサが進める肌の水分を3D可視化する最先端技術の全貌

イプサが肌の水分保持状態を3D画像で可視化

イプサは、美容業界において40年以上の研究を重ねてきた企業で、肌の潤いに関する新たな技術を発表しました。肌の健康にとって重要な「水」に着目し、今回の技術は、特に肌内部の水分子を3Dで可視化することに成功した点が注目されています。これにより、肌の水分保持状態を詳細に理解することで、さらなる保湿効果の高い商品の開発が期待されています。

誘導ラマン散乱顕微法とは

この新技術「誘導ラマン散乱顕微法」は、資生堂と東京大学との共同研究によって実現しました。水分子を3次元的に計測し、可視化するために光と分子の相互作用を使用するこの方法は、非侵襲的で肌に傷をつけることなく分析できるのが特徴です。従来の水分量測定手法では皮膚表面の電荷を利用していたため、表面的なデータにとどまっていましたが、今回の技術では水分子そのものを深部で測定できるのです。

水の重要性とその挙動

水は生命に欠かせない存在で、美しい肌を維持するために橋渡しとなる要素です。水そのものの構造や働きは一見シンプルに見えながらも、実は未知の側面が多く存在します。最近の研究では、「水」に対する新たな理解が美しい肌をキープする鍵であると考えられています。

新たな解析手法による研究背景

今回の技術開発に至るまで、イプサは既存の水分量測定方法を用いて、皮膚表面の静電容量から水分量を推定する手法を活用してきました。このような手法では表面的なデータしか得られず、深い部分にどれほど水分が浸透しているかを知るには限界がありました。それに対抗すべく、肌内部の水分子に直接アクセスできる技術の開発が求められていました。

誘導ラマン散乱顕微法によって得られるデータ

この技術では、レーザー光源を使用し、水分子に特異な信号を捉えることで、立体的なイメージを作成します。具体的には、角層シートを通じて水分子の分布状態を観察し、表面から奥にかけてどれくらい水分が保持されているのかを3Dで視覚化しました。視覚化に成功した結果、異なる水分分布を示すデータが得られ、化粧水の成分がどの程度角層に浸透しているかが明らかになりました。