トレムフィア®による潰瘍性大腸炎の治療成果
2025年5月5日、カリフォルニア州サンディエゴにて、Johnson & Johnson(J&J)は潰瘍性大腸炎の治療薬であるトレムフィア®(一般名:グセルクマブ)の第III相QUASAR長期継続試験のデータを発表しました。このデータは、同疾患の中等症から重症の活動期患者さんを対象としたもので、92週時点における臨床的及び内視鏡的寛解率に関する重要な成果を示します。
重要なデータ結果
QUASAR試験の結果、トレムフィアを投与された患者のうち、72%が92週目に臨床的寛解を達成し、その内99%が8週間以上コルチコステロイドを使用していない状態を維持しました。また、内視鏡的な寛解を達成した患者は43%に上り、内視鏡的改善を維持できた患者は84%でした。これらの数値は、トレムフィアによる持続的な治療効果の証明と言えます。
医療界の評価
ペンシルベニア大学の消化器・肝臓内科のGary R. Lichtenstein副部長は「潰瘍性大腸炎の患者さんにとって、持続的な治療効果は極めて重要です。トレムフィアの新データは、これを実現させる可能性を示唆しています」と語ります。これにより、潰瘍性大腸炎に対する治療の選択肢としての位置づけが一層強まりました。
トレムフィアの効果メカニズム
トレムフィアは、IL-23というサイトカインの働きを抑制する医薬品であり、特に炎症性腸疾患において有効性を発揮します。IL-23は免疫反応を調節しており、その過剰な活性化が潰瘍性大腸炎の発症に関与しています。この薬剤は、炎症を引き起こす細胞に直接作用し、病態の改善を助けると考えられています。
安全性の確認
安全性についても、これまでの研究と同様に特段の懸念は示されておらず、トレムフィアは既知の安全性プロファイルを維持しています。これにより、患者にとって安心して使用できる治療法の一つとなっています。
日本国内での状況
日本では、トレムフィアの潰瘍性大腸炎に対する治療が承認されていないため、現在は市場に出回っていません。しかし、グローバルでのデータが蓄積されていく中、今後の承認に期待が寄せられています。
まとめ
トレムフィアは潰瘍性大腸炎に対する治療の新たな選択肢として、長期的な寛解をもたらす可能性を秘めています。J&Jの研究チームは、より多くの患者にこの効果を届けるべく、引き続き努力を重ねています。今後の進展に目が離せません。