東京インキの新たな挑戦
東京インキ株式会社が、従来の硬質なプラスチックシンチレータとは異なり、伸縮性と密着性を兼ね備えた新しいプラスチックシンチレータ「ストレッチャブルプラスチックシンチレータ」を発表しました。これにより、植物や曲面への密着を求める放射線可視化技術に革命的な進展をもたらすことが期待されています。
開発背景
近年、放射線を可視化するための技術が注目されています。特に、植物の体内における放射性元素の動態を観察するためや、放射線治療の際のビームの可視化を行う研究が進められています。しかし、従来のプラスチックシンチレータはその剛性のため、対象物にしっかりと密着することが難しいという問題がありました。これにより、高解像度で放射線を可視化することは困難でした。
新開発品の特長
新たに開発されたストレッチャブルプラスチックシンチレータは、ポリスチレン系エラストマーと有機蛍光体を組み合わせ、以下の特長を実現しています。
1.
高い伸縮性: ゴムのように伸びる特性を持ち、大きく伸ばしても形状を保持します。これにより、高柔軟性を兼ね備えたシンチレータが実現可能です。
2.
優れた密着性能: 平滑な面のみならず、曲面や凹凸状の対象物にもフィットしやすく、密着性が飛躍的に向上しました。これにより、測定対象との距離を最小限に抑えることができます。
3.
シンチレーション機能の維持: 柔軟性がありながら、放射線によって発光するシンチレータとしての機能を保持しています。特にγ線を用いた評価が実施され、その性能が確認されています。
4.
多様な用途展開の可能性: 新たな放射線計測の分野として、植物体内における放射性元素の挙動の可視化、放射線治療用ビームの可視化、ウェアラブルデバイス向けの放射線センサとしての用途が期待されています。
学会での発表について
この新技術は第87回応用物理学会秋季学術講演会で発表され、引張特性やシンチレーション特性に関する詳しい評価が報告されます。講演では、技術の利点が幅広く解説される予定です。
まとめ
東京インキの「ルミネード®」シリーズに新たに加わったこのストレッチャブルプラスチックシンチレータは、放射線可視化の新しいソリューションとして、医療や科学研究の現場で大きな期待が寄せられています。
企業としての東京インキは、色彩化学メーカーとしての100年の歴史を背景に、持続可能な社会の実現に向けた製品開発を進めています。この新しい技術も、今後の技術革新に寄与することが期待されています。