ファンケルの新たな挑戦
最近、株式会社ファンケルが、キリンホールディングスやアサヒ飲料を含む業界の8社と協力し、新たなケミカルリサイクル(CR)の取り組みを発表しました。この取り組みは、飲料用ペットボトルと非食品用途のPETを対象にしたもので、これまで十分なプラスチック資源の循環ができていなかった課題に対し、具体的な解決策を提示しています。
CRの新しいアプローチ
ケミカルリサイクルとは、分子レベルでプラスチックを分解し、不純物を取り除いて再生PET樹脂を作る技術です。ファンケルが行うこの取り組みでは、使用済みの飲料用ペットボトルだけでなく、さまざまな非食品用途のPETも原料として活用されます。具体的には、工業用フィルムや化粧品ボトル、自動販売機のサンプル品などが再利用対象です。
例えば、工業用フィルムはTDKと村田製作所が提供し、電子部品製造の過程で出た端材がリサイクル材料として用いられます。さらに、花王は化粧品ボトルの回収を通じて使用済みボトルを供給します。自動販売機用商品サンプルについては、キリンビバレッジが不要となった製品を提供します。これにより、様々な企業が協力してプラスチック資源の循環を進めることが期待されています。
プラスチック資源循環の未来へ
この取り組みの中心には、ペットリファインテクノロジーがあり、ケミカルリサイクルを実施後、各社にCR樹脂を供給する役割を担っています。それぞれの企業は、この再生されたPET樹脂の品質を評価し、飲料用ペットボトルや化粧品ボトルへの導入を検討していきます。
すでに、キリンビバレッジは2024年4月から、また花王は2024年5月から部分的にこの原料を使用する計画を発表しています。アサヒ飲料も今年10月以降にこの取り組みを導入する予定です。ファンケルにおいても、今後の採用を見据えた議論が進んでいます。
安全性評価と業界の連携
これまでファンケルを含む各社は、PET樹脂の水平リサイクルに力を入れてきました。今回の取り組みでは、JEPLANの特有のCR技術を基に、キリンのパッケージイノベーション研究所が食品容器として再生する際の安全性評価の基準を提案しました。このようにして、安全性評価を行い、協力を深めながら新たな取り組みを実施することができました。
今後の展望
このような企業間の協業を通じて、使用済みプラスチックの有効利用とGHG(温室効果ガス)排出量の削減が進むことが期待されています。今後も、ファンケルと他の企業が連携して新たなリサイクル技術を模索しながら、持続可能な未来を目指していくことに注目です。
ファンケルのこの取り組みは、環境問題が深刻化する中で、新しい解決策として多くの注目を集めています。この連携を通じて、より良いリサイクルシステムが整備されることを願っています。