犬の断尾・断耳問題に迫る
突然ですが、あなたは犬のしっぽや耳が見た目のために切られていることをご存知ですか?実は、今もなお、犬の「断尾」や「断耳」が行われている現状があります。「ペトリコウェル」による調査では、獣医師の約7割がこれらの処置に反対の意を示しており、健康上のリスクが指摘されています。ここでは、これらの手術がなぜ行われているのか、また獣医師たちがどのように感じているのかについて掘り下げていきます。
断尾・断耳の実態
私たちが街中で目にするトイプードルやミニチュア・シュナウザーの一部は、実は生後すぐにしっぽや耳を切られた犬たちです。かつては、作業犬の怪我を防ぐために行われていましたが、現在では主に見た目を重視した理由で実施されています。ところが、獣医師たちはこの手術が健康や福祉に与える影響を非常に懸念しています。
例えば、断尾された犬は、切断時の痛みや神経損傷により慢性的な痛みを抱えるリスクが高いと言われています。さらには、術後のケアが不十分な場合には感染症や皮膚トラブルが発生することもあります。このような指摘がある中で、果たして断尾や断耳は本当に必要なのでしょうか?
調査結果と獣医師の意見
「断尾・断耳についてどう思うか」という質問に対して、調査対象の獣医師たちの約7割が「反対」または「どちらかといえば反対」と回答しました。この結果は、これまで犬たちの外見を理由に慣習的に行われてきた手術に対する疑問が深まっていることを示しています。
具体的には、以下のような健康リスクが挙げられています:
- - 切断時の痛みや、神経損傷による慢性的な痛み
- - 術後ケアが不十分な場合の感染症リスク
- - 尾や耳の損傷・炎症の診断が難しいこと
- - 神経損傷に伴う筋力低下や歩行バランスへの影響
- - コミュニケーションの手段の減少によるストレス
これらの多面的なリスクに対して、獣医師たちは強い問題意識を持っていることがわかります。実際に「断尾・断耳は実施されるべきではない」とする専門家も多く、より人間的なケアが求められています。
獣医師たちの本音
今本成樹先生(獣医師・遺伝学専門)も、断尾や断耳が犬の健康に与える影響について次のように語っています。「特別な事情がない限り、これらの手術を行う必要はなく、犬たちにはもっと自然な姿でいてもらうべきです。」
彼はまた、「不適切な処置によって感染症などが引き起こされるリスクも無視できません。獣医師としては、美容目的でこれらの手術を行うべきではないと思う」と強調しています。このような獣医師たちの意見は、今後の動物福祉のあり方において重要な指針になるでしょう。
飼い主の声とSNSの反響
最近、Breeder Familiesが行った調査やSNSでの意見投稿では、「断尾や断耳の存在を知らなかった」「知って驚いた」という声が多く寄せられています。特にInstagramで公開された動画は50万回以上再生され、多くの飼い主が自らの無知に衝撃を受けている様子が伺えます。コメントには、「短い尻尾が自然だと思っていたが、保護犬を見て気付いたという声」や、「初めてその事実を知ってショックを受けた」という感想が見られます。
筆者としての考え
こういった現状を受けて、私たちが何をできるのかを考えることが求められます。断尾・断耳の処置は単なる外見上の問題にとどまらず、犬たちの健康や感情にも影響を与えるのです。そのため、飼い主たちが正しい情報を持ち、健康に配慮した選択をすることが重要です。日本でもアニマル・ウェルフェアの観点から見直す動きが広がってほしいと願っています。
今後、私たちがこの問題と向き合っていくことで、犬たちにとってより良い未来が切り開かれることを祈っています。