岡山大学が無痛分娩の安全性向上に向けた研究を開始
2025年7月、岡山大学と三宅医院、ウィーメックスの3者が協力し、無痛分娩に関する新たな研究プロジェクトを立ち上げました。この取り組みは、全国的に無痛分娩の施行に課題がある中、特に麻酔科医の不足と安全管理の双方を解決することを目指しています。
無痛分娩の現状と課題
無痛分娩は、妊婦さんにとって痛みを軽減する大切な選択肢ですが、日本では過去に無痛分娩に関連した死亡事故が報告されており、安全な管理体制の確立が必要とされています。麻酔科医が施術する硬膜外麻酔を含む、適切な管理体制がなければ、質の高い無痛分娩は実現しません。しかし、麻酔科医が不足していることで、全国各地で無痛分娩の普及は停滞しています。
新提案の具体的な取り組み
この研究では、無痛分娩を希望する妊婦さんが三宅医院に入院した際、岡山大学病院の麻酔科医が出向いて硬膜外麻酔を施行します。これにより、麻酔の導入が確認され、安定した状態になった後に、麻酔科医は本院へ戻り、通常の業務を続けますが、ウィーメックス社の遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」を利用して、定期的に妊婦さんの診察を行います。
このシステムにより、麻酔中の妊婦さんの疼痛コントロールや呼吸循環の状態を遠隔で確認し、問題があれば迅速に対応できる体制が整います。直接介入が必要な場合は、再度三宅医院を訪れて治療を行うことも可能です。これにより、妊婦さんは安心して無痛分娩を選択できる環境が提供されます。
患者満足度の向上を目指して
本プロジェクトの初期段階では、患者の満足度向上に注目し、どのような効果が見込めるかを検証していきます。最終的には、無痛分娩の安全性を高めるための研究につなげていく計画です。金澤伴幸講師は「麻酔科医が必ずしもベッドサイドにいる必要がないという点は、無痛分娩の提供を広げるうえで非常に重要です」と述べています。
今後の展望
岡山大学と三宅医院、ウィーメックスによるこの共同研究は、無痛分娩の普及をサポートするための新しい扉を開くことを目指しています。地域で安心して無痛分娩を受けられる環境を整えることで、妊婦さんにとっての選択肢が増え、安全なお産が実現することが期待されています。
この取り組みは、2025年7月1日に岡山大学から公式に発表されました。詳細な情報は、岡山大学の公式ウェブサイトで確認できます。