児童労働撤廃に向けた新たな取り組みとその必要性
国際労働機関(ILO)及びユニセフが発表した最新のデータによると、世界には約1億3,800万人の子どもが児童労働に従事していると推定されています。昨今の新型コロナウイルスの影響によって、児童労働者が増加するのではないかという懸念が高まる中、この数値の減少は前向きな兆候と考えられています。しかしながら、2025年までに全ての形態の児童労働を撤廃するためには、既存の取り組みを劇的に強化する必要があります。この課題に対する政府や企業、NGOの連携が求められています。
児童労働の現状と地域別の課題
ILOとユニセフが発表した報告書では、児童労働の減少傾向が見られる一方で、地域によってその状況は大きく異なることが浮き彫りになりました。特にアフリカでは、児童労働が依然として深刻な問題であり、農業に従事する子どもたちが全体の6割を占めています。低収入の国々では児童労働が集中していますが、日本を含む高収入国でもこの問題が完全には解消されていないことも認識されるべきです。
政府、企業、NGOの連携の重要性
2023年6月12日、児童労働反対世界デーに関連して、第一衆議院議員会館で「児童労働ゼロ、その日はいつ?」という院内集会が開かれました。このイベントには法務大臣や外務副大臣をはじめとする多くの政府関係者が出席し、児童労働の撤廃に向けた具体的な議論が交わされました。
鈴木法務大臣は、法務省が企業のサプライチェーンの中で児童労働を禁止することに取り組んでいることを強調し、仁木厚生労働副大臣は児童労働は国際社会全体で取り組むべき課題であり、その解決には行動が必要であると訴えました。宮路外務副大臣は、児童労働がもたらす教育や健康への影響について語り、社会全体で解決する責任を行政に訴えました。
児童労働撤廃に向けたACEの取り組み
認定NPO法人ACEは1997年から児童労働の問題に取り組んできました。ガーナやインドでの現地プロジェクトを通じてコミュニティ単位での児童労働撤廃を目指しています。ACEは、6月19日に児童労働撤廃に向けた政策提言を発表し、国内外での協力の強化を求めました。特に、代表的な施策として「児童労働フリーゾーン」の創設をあげ、国際レベルで活動しています。
2030年までの児童労働ゼロ達成に必要な施策
ILOとユニセフの報告書によれば、2030年までに児童労働をゼロにするためには、現状の11倍の削減速度で進める必要があります。このため、各国政府には、以下の施策が求められています。
1. 家庭が子どもの労働に頼らずとも生活できるように、普遍的な社会的保護制度の強化。
2. 危険な状況に置かれている子どもたちへの支援強化。
3. 質の高い教育をすべての子どもに提供するための環境作り。
4. 労働者の権利を守り、児童労働の撤廃に向けた企業の責任を明確にする法令の整備。
まとめ
児童労働の撤廃は、全世界が一致団結して取り組むべき課題です。日本政府を含む先進国の政策提言や国際協力を促進することが、これからの児童労働の未来を創る鍵となります。ACEをはじめとするNGOが継続的に行う活動と、国からの応援がこの取り組みを支えることで、すべての子どもが安心して成長できる社会を目指していきたいです。