東京のTOPIX100企業における人的資本開示状況の変化と展望
最近、HRガバナンス・リーダーズ株式会社が実施した調査結果が注目を集めています。この調査は、TOPIX100に構成企業の有価証券報告書における人的資本関連情報の開示状況を詳しく分析したものです。2023年から、これらの情報開示が義務化されたことを受け、どのような進展が見られるのかを探っていきます。
調査の目的
調査の主な目的は、有価証券報告書に記載される人的資本の項目の開示状況を明らかにするとともに、今後の変化の動向を把握することです。具体的には、ダイバーシティ関連の指標、人的資本戦略やその具体的な取り組みの開示状況、進捗を測るための指標や目標の設定状況、さらには人材に関するガバナンス体制の整備状況に重点を置いています。
調査対象企業
TOPIX100に含まれる企業は、日本経済の重要な役割を担う企業たちです。したがって、その人的資本開示が進むことは、他の企業にも良い影響を与えることが期待されます。
主な調査結果
ダイバーシティ関連指標
調査結果によると、有価証券報告書において義務化されたダイバーシティ3指標(女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間の賃金差異)の実績は、年々向上しています。特に注目すべきは、男性の育児休業取得率がこの3年間で10ポイント以上増加した点で、70%台後半に達することが見込まれます。また、女性管理職比率は微増にとどまっていますが、連結ベースでの開示を行う企業が増加していることが明らかになっています。
人的資本戦略の具体的取り組み
また、人的資本に関する具体的な取り組みについても、多くの企業が進展を見せています。「ダイバーシティに関する取り組み」が約90%の企業で開示され、従業員エンゲージメントの向上や全社的な採用・育成についての取り組みは、80%以上の企業で確認されました。特に、サクセッションや次世代リーダー育成に関する情報開示は以前の約8倍に増加し、企業の意識向上がうかがえます。
人的資本の指標と目標の開示状況
人的資本の指標と目標についても分析が進み、「従業員へのパーパスやビジョンの浸透に関する指標」や、「ダイバーシティ関連の取り組みに関する指標」が3年間で大きく増加していることが判明しました。特に、指標を開示する企業は約3倍に達し、人的資本の重要性が増していることを示しています。
ガバナンス体制の開示状況
さらに、人的資本のガバナンス体制においても、会議体やCHRO(人事最高責任者)機能の設置が進んでいる企業が増加しています。これにより、人的資本に関する議論がより重要視されつつあることが確認されています。
今後の展望
HRGLの代表取締役社長である内ヶ崎茂氏は、人的資本開示の義務化以降、企業の取り組みが着実に進展していることを強調しています。今後も企業は人的資本経営を一層強化し、従業員の活躍を支える環境を着実に整備することが求められています。特に、取締役会での意思決定プロセスが重要であり、経営チームに権限を移譲することで効率的な人材開発が進むと考えられています。
この調査結果は、人的資本の戦略策定において企業がどのように進展しているのか、そして今後の方針を導き出すための重要な指標となっています。
HRガバナンス・リーダーズ株式会社について
HRGLは2020年に設立され、サステナビリティと人的資本経営に特化したコンサルティングを行っています。企業の長期的な発展に向け、多様なニーズに応え、成長ストーリーを描くためのサポートを行っています。今後も、人的資本経営の実効性を高める努力が続くことでしょう。