2025年6月7日から23日まで、東京都港区のYUGEN Galleryにて写真家・蓮井幹生の個展「十七の海の肖像」が開催されます。この展覧会では、日本各地の原発前に広がる海の景色を収めた作品が展示されます。蓮井氏は、1990年代から「自然の摂理」をテーマにしており、世界中の風景を追い求めてきました。特に2009年には、シリーズ作品《PEACE LAND》や《詠む写真》がフランス国立図書館に収蔵されるなど、その作品は国際的にも評価されています。
本展の魅力は、蓮井氏が2023年から2025年にかけて撮影した日本国内の17の原子力発電所の前の海景です。これらの海は画像処理を施し、人工物を取り除くことで、静けさと自然の美しさが際立っています。この試みは、観客に自然本来の姿を感じてもらい、人間の痕跡を消すことで生まれる新たな視点を提供します。日本の原発の近くに広がる美しい海の景色を通し、文明と自然との関係について考える機会となるでしょう。
蓮井幹生は、独学で写真を学び、広告やレコードジャケットのアートディレクターとしてキャリアをスタートさせました。しかし、30歳から写真家としての道を歩むことになり、多くの展覧会を開催し、国際的にも名を知られる存在となりました。彼の作品は、自然災害や人間活動の影響を反映したものも多く、最近では「朽ちゆく果てにも美は宿る」といった展覧会が話題となりました。
「十七の海の肖像」の開催中には、蓮井氏自身が作品の背景や制作プロセスを語るギャラリートークも予定されており、参加者は貴重な話を直接聞くことができます。これに加え、展覧会と同時期にYUGEN Galleryのオンラインストアでも作品の購入が可能になります。
YUGEN Galleryは、2022年に設立され、日本の現代アートを積極的に紹介するギャラリーとして注目されています。特に「幽玄」という日本特有の美的概念を反映したアート作品の展示に力を入れており、多くの新進気鋭のアーティストたちの作品を発表する場となっています。
まとめると、「十七の海の肖像」は、自然と文明が交差する深いテーマを持つ展覧会であり、蓮井幹生の作品を通じて日本の海と原発の関係性を考える機会となるはずです。入場は無料なので、ぜひ足を運んでこの特別な展示を体験してみてください。詳細についてはYUGEN Galleryの公式サイトにてご確認ください。