慶應義塾大学発のスタートアップWAKUが挑む持続可能な農業への道
最近、株式会社WAKU(岡山県岡山市)は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)からの出資を受け、グルタチオンを活用した次世代型農業資材の開発に向けた新たな一歩を踏み出しました。この出資は、総額1.8億円に達し、国内外の農業生産に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。
現代農業が抱える課題
近年、異常気象や高温障害が頻発し、農業の生産性は以前にも増して脅かされています。特に、猛暑が続く日本では、米や野菜の品質と収量が大きく低下する事例が目立っています。また、肥料価格の高騰や労働力不足も加わり、生産者はますます厳しい状況に置かれています。このような背景が、WAKUの技術開発のきっかけとなったのです。
グルタチオンバイオスティミュラントの可能性
WAKUが目を付けたのは、「グルタチオン」という自然界に存在する成分です。この成分を用いたバイオスティミュラントは、作物の耐暑性や収量を向上させることが期待されています。WAKUは、その独自の開発により、農作物のストレス耐性を向上させ、生育を内側から支えることを目指しています。
今後、欧州を中心に法整備が進む中で、バイオスティミュラント市場は年平均11.8%の成長が予測されています。WAKUは、日本市場だけでなく、海外市場への展開を視野に入れ、実証検討を進めています。
資金調達後の展望
今回の資金調達によって、WAKUは新製品の研究開発を迅速に進め、営業組織の整備、そして海外展開の準備を加速させることが可能になります。これにより、農作物の生産効率を向上させるとともに、環境負荷の低減にも貢献できると期待されています。
持続可能な農業を実現し、安定した食料供給を維持するためのこの取り組みは、将来的に社会課題の解決に寄与することでしょう。
WAKUの概要
WAKUは、2022年に設立されたアグリテックスタートアップで、グルタチオンを用いたバイオスティミュラントや飼料の研究開発・製造販売を行っています。CEOの姫野亮佑氏のビジョンの下、環境と共生する農業の実現に取り組んでいます。公式ウェブサイトは
こちら です。
慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)の役割
慶應義塾大学の研究成果を活用したスタートアップの支援を手掛けるKIIは、2015年12月に設立されました。社会に影響を及ぼすイノベーションを生み出すことを目指して、シード・アーリーステージの投資を重視しています。2023年には、インパクトファンドを設立し、社会課題の解決を目指したスタートアップ支援を続けています。
今後のWAKUの活動に期待が高まる中、日本の農業が新しい時代に向けた変革を迎えることに心から注目したいと思います。