ウェルビーイング経営の重要性と実践に向けた指針
はじめに
最近、企業の持続的成長において、ウェルビーイング経営が注目を集めています。この新しい経営アプローチは、企業が従業員の心身の健康や働きがいを重視し、組織全体の生産性を向上させることを目指すものです。2024年4月から全6回の「CHROラウンドテーブル」を開催し、株式会社グロービスが主導するこの試みは、旭化成、SCSK、パーソルテンプスタッフ、丸井、みずほFG、楽天グループという多様な企業とともに、ウェルビーイング経営を実現するための議論を行いました。今回は、発表された「CHRO Roundtable Report」から、その要点と企業における導入の意義について深掘りします。
ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイング経営とは、従業員一人ひとりの心身の健康や働きがいを重要視し、その充実度を高めることで、企業全体の持続的な成長を図る経営戦略です。グロービスのウェルビーイング経営の定義によれば、企業は経済的利益を追求しながらも、持続可能なビジネスモデルを構築することを目指しています。つまり、企業価値が高まり続けることが組織のウェルビーイングであり、経済的価値と社会的価値の両立を実現することが求められます。
社会の変化とウェルビーイング経営の必要性
現代社会では、社会課題への関心が高まり、働く人々の価値観が多様化しています。特にミレニアル世代やZ世代は、企業の成長だけでなく、働くことそのものの意味や人生の質に重きを置くようになっています。そのため、企業は単に利益追求を行うだけでなく、社員や地域社会、環境への配慮が求められています。このような変化に適応するために、ウェルビーイング経営は不可欠な要素となっているのです。
1. 社会課題への対応
地球規模の課題が深刻化する中、企業は持続可能な開発目標(SDGs)に従って、社会的責任を果たす必要があります。日本政府も2030年以降のポストSDGsとして、「ウェルビーイングの向上」を掲げており、企業は「健康」「成長」「つながり」を実現する責任を担っています。この流れを受け、企業経営も株主資本主義からマルチステークホルダー資本主義へと移行しています。
2. 投資家の視点の変化
最近では、投資家が重視する情報が財務指標から、ESGや社員の満足度といった非財務情報へと拡大しています。特に、人的資本経営が重要視され、人材の適切な活用が企業価値の向上に直結することが認識されるようになっています。このため、ウェルビーイング経営は企業の評価基準として位置づけられています。
3. 働く人々の価値観の変化
ミレニアル世代やZ世代の登場によって、働く人々の価値観には大きな変化が見られます。彼らは、企業が自身の存在意義を示すだけではなく、「なぜこの組織で働くのか」という問いに応えられる環境を求めています。このニーズに応えることは、企業の採用力や人材の定着率を左右する重要な要素です。
CHROラウンドテーブルの実績
ウェルビーイング経営を実現するための施策を多方面から考察するために行われた「CHROラウンドテーブル」では、各企業の人事担当役員が集まりました。ここでは、ウェルビーイングを高めるための人事戦略や制度設計、リーダーシップの在り方が話し合われました。また、社員の幸福度と組織の持続的成長を両立させる実践事例も豊富に紹介されています。セッションを通じて、参加企業が実際に挑戦した事例やその成果が明らかになり、具体的なアクションプランも提示されています。
CHRO Roundtable Reportの概要
本レポートでは、ウェルビーイング経営を実践する際に直面する可能性のある難所を6つ示し、それに対する各企業の取り組み事例を紹介しています。このレポートは、企業がウェルビーイング経営の実現に向けた指針として活用できる内容です。また、特別企画として読者限定のクローズド・ミートアップを開催予定で、参加者の課題に対しての具体的な議論の場を提供することを目指しています。
結論
グロービスは、ウェルビーイング経営を企業の持続的成長につなげるための重要なアプローチと位置づけています。このレポートを通じて、さまざまな企業が実践する方法を共有し、多くの組織が価値向上を目指す際に役立てていくことが期待されます。今後も、グロービスは人材育成や組織変革の支援を通じ、企業の成長に貢献していくことを目指しています。