再生可能エネルギーの新たな価値を創出する取り組み
東京都中央区を拠点にする電源開発株式会社(Jパワー)、株式会社インダストリー・ワン、NSW株式会社、流通データベースを開発する株式会社Scalarの4社が、再生可能エネルギーの利用促進を目指して「環境価値プラットフォーム」の共同開発を始動しました。これにより、再生可能エネルギーに新たな時間的価値を付与し、化石燃料の使用を低減することが期待されています。
現状の課題と背景
再生可能エネルギーは、自然条件の影響を大きく受けるため、常に安定供給されるわけではありません。現行の取引方法では、時間ごとの供給量を正確に把握することが難しく、特に昼夜の電力需給において、夜間のエネルギー供給が化石燃料に依存している状況が見受けられます。このことが、再生可能エネルギーの活用促進における大きな課題となっています。
具体的な取り組みとしては、以下の二つが挙げられます:
1.
24/7 Carbon Free Energy (CFE)
これは、時間ごとに100%非化石電源を使用していることを保障する取り組みです。この手法は、昼間の太陽光発電を夜間にシフトし、効率的にエネルギーを活用するためのものです。
2.
蓄電池の活用
昼間に発電した電力を蓄えることにより、夜間に再生可能エネルギーとして供給することで、環境価値を高める試みが進められています。
環境価値プラットフォームの概要
このプラットフォームは、発電された非化石電源の利用時間を正確に記録し、電力需要データと関連付けることで、時間帯ごとの環境価値を明示するシステムです。主な特徴は以下の通りです:
Scalarが提供する分散台帳技術(ScalarDL)により、発電データの真正性が保証され、データの改ざんが検知される仕組みが整っています。
環境価値をプール化し、需要家ごとに非化石比率を充当する仕組みが採用されています。これにより、大量のデータを迅速かつ合理的に処理し、取引が行えるようになります。
時間帯ごとの電力供給状況を元に、正確な非化石比率を計算し、実質的なCO2排出量の削減に寄与します。将来的には、地産地消電源の導入促進にも寄与する見込みです。
各社の役割と期待される効果
各社の役割は次の通りです:
PoCの立案や再生可能エネルギー供給の計画などを担当。
プロジェクト伴走支援やビジネス戦略の設計を行います。
データの改ざん検知システムの開発やデータ処理システムの構築を実施。
トランザクション管理システムや改ざん検知ツールの技術提供を行います。
このプラットフォームを通じて、非化石価値の最大化や化石燃料利用の抑制、さらには制度への柔軟な対応が期待されており、企業のGX(グリーントランスフォーメーション)を幅広く支援することが可能になるでしょう。将来的には、カーボンクレジットなどの他の環境価値の流通にも拡張され、「GX銀行」としての機能も目指します。
結び
Jパワーグループは、さまざまな再生可能エネルギーの促進を強化し、カーボンニュートラルの実現に向け、積極的に取り組んでいく方針です。これにより、より持続可能な社会の実現に向けた道筋を示すことが期待されています。