AIとの協働による英語教育の進化
株式会社みらい翻訳(以下「みらい翻訳」)は、立命館大学との共同研究を通じて、AI翻訳および生成AIを活用した英語教育において新たな成果を上げています。この研究では、学部生および大学院生を対象として、AIの使用が学習の時間短縮や英文の質向上、自信の強化にどのように寄与するかを探求しています。2024年度には、特に学ぶ段階にある学生と専門的な知識を持つ学生との違いを分析するために、二つの異なる調査を実施しました。
調査の背景と目的
みらい翻訳が提供するAI自動翻訳ツール「FLaT」は、英語学習の効率化を図るための強力な手段として注目されています。特に、AIの有効活用がどのように学生の学習プロセスや心理的側面に影響を与えるかについて研究を進め、2022年度より立命館大学で実施されている「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」にも導入されています。このプログラムでは、約5000人の学生がAI翻訳ツールを使用して英語の学びを深めています。
研究結果の概要
研究の中で確認された主な成果を以下に示します。まず、学部生を対象とした調査①では、英作文課題においてAIを使用する方法(生成AIと翻訳AIの利用)が異なることで、成果に大きな差が生じることが明らかになりました。具体的には、生成AIを使用して日本語から英文を翻訳した場合、課題に費やす時間が短縮されるだけでなく、完成した英文の質も向上したことが確認されました。
さらに、ポストエディットの際に生成AIを活用すると、学生の自信が向上することが見られました。この研究では、AI導入後の作業時間が増加するものの、学生が質の向上を求める姿勢が強まった点が強調されています。そして、大学院生を対象とした調査②では、AI翻訳の結果を基に自身の専門知識や気持ちを反映させ、自分の言葉で翻訳するプロセスが観察されました。
AIとの協働が生み出す新たな学び
本研究は、AI活用が学生の思考を委縮させるのではなく、むしろAIを思考のパートナーとして活用することで新たな学びが生まれることを示しています。調査の結果を踏まえ、AIを利用する際には、ただツールを導入するだけでなく、学習者の関心や専門分野に絡めた課題設定が重要であることが明らかになりました。
未来の展望
みらい翻訳は立命館大学との共同研究を継続し、AIとの協働によって学生の思考力や発信力を育成する新しい教育方法論を探究していく方針です。また、AI技術に精通した専門家集団として、高等教育の現場での有効なパートナーとして貢献を続けていく意向を示しています。
これからの英語教育において、AIとの効果的な協働がどのように進化していくのか、さらなる研究成果に期待が寄せられます。