風水害対策に向けた要配慮者支援プロジェクトが始動
最近、日本各地で頻発する自然災害は、特に高齢者や障がい者などの要配慮者に大きな影響を与えています。そんな中、東京海上レジリエンス株式会社、NEC、およびアビームコンサルティング株式会社は、東京都が運営する「東京データプラットフォーム」のケーススタディ事業として、「要配慮者の個別避難トータルサポートプロジェクト」を2024年8月から開始します。
このプロジェクトは、多摩市と江戸川区と協力しながら、官民の防災データを駆使して、要配慮者の避難を支援することを目的としています。「逃げ遅れゼロ」の実現に向けた取組みは、デジタル技術を利用した革新的なサービスの創出を目指しています。
プロジェクトの背景と目的
近年、日本では大規模な自然災害が続いており、とりわけ高齢者や障がい者といった要配慮者は、逃げ遅れるケースが多いです。中でも定期的な支援を必要とする「要支援者」は、避難計画を事前に立てる必要があるとされ、自治体の努力が求められています。これを受け、この実証プロジェクトでは、官民の協力によるデータを活用した避難方法を模索します。
実証プロジェクトの全貌
プロジェクトは多摩市と江戸川区の協力のもとで進行し、要配慮者の避難支援に関する様々な施策が実施されます。特に、個別避難計画の作成、安否確認の効率化、災害時の支援者サポートが重点的に検討され、実証が行われます。
多摩市での取り組み
1.
個別避難計画の高度化 - 道路通行実績データを利用し、効率的な避難計画作成システムが構築されます。これにより、計画作成の時間短縮とリスク回避が期待されます。
2.
安否確認の効率化 - 支援者が安否確認を行う際に利用するアプリケーションで、情報を自動集約し、迅速なフォローが可能となるかを検証します。
3.
支援者への情報提供 - 要支援者に必要な情報をプッシュ通知するアプリが導入され、支援者が適切に支援できるかどうかを評価します。
4.
移動支援の連携 - 地元の民間企業とのワークショップを通じ、要支援者の避難に必要な移動支援がどう可能かを考察します。
5.
避難支援業務全体の見直し - 現行の避難支援フローを整理し、課題を特定します。
江戸川区での取り組み
江戸川区では、大規模水害に備えた広域避難を促進するための宿泊施設予約サイトが開発されます。このサービスが実際の避難手段として機能するかどうか、参加者からのフィードバックを通じて評価されます。約7割の参加者が、今回の体験を通じて広域避難への関心が高まったと回答しました。
各社の役割
このプロジェクトは、東京海上レジリエンスが全体のとりまとめを行い、NECとアビームコンサルティングが具体的な実証環境の設計やデータ分析を担当しています。これにより、各社の強みを活かした効果的な取り組みが実現します。
未来の展望
この実証プロジェクトを通じて得られた知見は、東京都内の他の自治体や全国規模での展開を目指します。「逃げ遅れゼロ」を実現し、全ての住民が安心して生活できる街の形成に寄与することでしょう。今後のプロジェクトの進展に注目です。