腸内細菌による新たな医療の未来:KIIとメタジェンの挑戦
慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)が、腸内細菌叢移植(FMT)医薬品の開発を推進しているメタジェンセラピューティクスに対し、追加出資を行った。今回の増資により、メタジェンセラピューティクスは総額23.2億円を調達し、経口FMT医薬品の開発を加速することとなる。
メタジェンセラピューティクスのビジョン
メタジェンセラピューティクス株式会社は、山形県に本社を置き、順天堂大学、慶應義塾大学、東京科学大学から発展したスタートアップ企業である。彼らは、腸内細菌医療を社会実装することを目的として、FMTの技術を使ったさまざまな治療法を開発中である。これまでに、潰瘍性大腸炎を対象とした臨床研究に取り組み、さらには食道がんや胃がん、パーキンソン病向けの臨床研究も進行中だ。
FMT医療技術の進展
腸内細菌医療の一環であるFMTは、腸内細菌のバランスを整えることで多くの疾患に効果があると期待されている。メタジェンセラピューティクスは、日本初となるマイクロバイオーム医薬品の開発も進めており、便の調達から治験薬の製造に至るまで、強固なサプライチェーンを構築している。今回の追加出資によって、彼らは日米での治験を加速し、さらなる組織体制の強化および人材の拡充に動く予定だ。
KIIの役割と使命
KIIは、慶應義塾大学の研究に基づくスタートアップを支援するために2015年に設立された。彼らは、「その研究が、その発明が、そのイノベーションが、社会を変えるまで。」というミッションのもと、シードおよびアーリーステージの企業にリード投資を行っている。2023年には大学VC初のインパクトファンド「KII3号インパクトファンド」を立ち上げ、健康で幸福な社会の実現を目指している。
未来の医療と社会への影響
腸内細菌の力を活用した医療が進化する中、KIIとメタジェンセラピューティクスの連携は、従来の医療に新たな風をもたらす可能性がある。FMT医療技術の普及が進むことで、より多くの患者がその恩恵を受けられる日が近づいている。これにより、日本のみならず、世界中で健康を支える新たな治療法としての地位を確立していくことでしょう。
メタジェンセラピューティクスの代表取締役社長である中原拓氏は、「腸内細菌叢移植を通じて、全ての人々に健康的な日常を提供することが我々の目標です」と語っている。今後の進展が期待される中、私たちもその動向を注視していきたい。
会社概要
- - 会社名: メタジェンセラピューティクス株式会社
- - 所在地: 山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
- - 設立: 2020年1月
- - 事業内容: マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
- - URL: https://www.metagentx.com
まとめ
腸内細菌叢移植の技術とその医療への応用は、今後さらに多くの研究と開発が必要ですが、KIIとメタジェンセラピューティクスの取り組みが、それに向けた一歩を確実に踏み出していることは確かです。腸内細菌医療の未来に期待が寄せられる中で、この分野がどのように発展していくのか、今後も目が離せない。