東京の大学で進む盲ろう者への理解促進プログラムの取り組み
東京では、若年層を対象とした盲ろう者への理解を深めるためのプログラムが実施され、5つの大学で100名以上の参加者が集まりました。これは認定NPO法人「東京盲ろう者友の会」が主催し、視覚と聴覚の両方に障害を持つ人々への理解と支援の意識を促進することを目的としています。
盲ろう者の現状と支援の必要性
日本には約1万人の盲ろう者がいるとされています。彼らは日常生活において多くの困難を抱えています。たとえば、情報の取得や移動、コミュニケーションが容易ではなく、理解ある支援者の存在が不可欠です。
しかし東京都内では、若年層の通訳・介助者が過去10年で約11%から3%に激減しており、盲ろう者を支援する人材の確保が深刻な課題となっています。東京盲ろう者友の会は、この状況を受け、盲ろう者支援のための通訳・介助者養成講習会を唯一つ実施し、長年にわたって人材育成に取り組んできました。
プログラムの内容と反響
早稲田大学
2025年5月9日、早稲田大学で開催されたこのプログラムでは、盲ろうの当事者である理事長藤鹿一之が講演し、指点字によるコミュニケーション実習が行われました。参加者はその実体験を通じて貴重な学びを得たと高評価を受けました。
東洋大学
同年6月21日には東洋大学で「盲ろう者理解ワークショップ」が開かれ、多くの学生が支援の重要性を理解し、行動意欲の向上を実感しました。実体験の講義が特に興味を引いたとの声も上がりました。
日本社会事業大学
6月22日の日本社会事業大学ではシンポジウムを開催。登壇者である盲ろう者の福島智氏が直接語ることで、参加者の支援のイメージが具体的になり、今後の考え方にも影響を与えたようです。
帝京平成大学
7月1日の帝京平成大学では、先天性盲ろう者の森敦史氏による講義があり、学生たちは支援の具体的なイメージを描くことができたと報告されました。
聖心女子大学
最後に、7月4日には聖心女子大学で映画『もうろうをいきる』の上映と講演が行われ、参加者たちは盲ろう者への理解が深まる機会を得ることができました。
今後の展望
今後も、より多くの大学と連携し、盲ろう者理解を促進するプログラムを拡大していく予定です。プログラムは授業や公開講座に合わせた柔軟な提供が可能で、参加費は原則無料です。これにより、多くの学生が盲ろう者とその支援の必要性を実感できることが期待されています。
東京盲ろう者友の会とは
「東京盲ろう者友の会」は、盲ろう者の自立と社会参加を支援するために設立された団体です。福島智氏の大学進学支援をきっかけに1991年に創立され、現在も多角的な支援を提供し続けています。
まとめ
教育を受ける若者たちに盲ろう者の存在を理解させることで、将来的な通訳・介助者の育成と共生社会の実現が進むことを願っています。今回の活動が、より多くの人にとって意義深いものとなることを期待しています。