大阪府吹田市が実施した避難所受付のデジタル化
大阪府吹田市は、避難所入所受付を革新する実証実験を行い、従来の紙ベースの方法と比較して驚異的な所要時間の短縮を実現しました。この実験は、バカンという株式会社の協力で、最先端の技術を活用し、安心・安全な避難をサポートすることを目指しています。
目的と背景
近年、自然災害の頻発に伴い、迅速で的確な避難対策が求められています。昨今、多くの自治体が抱える課題である避難所の混雑を解消し、住民がスムーズに避難できる環境を作ることは、行政の重要な責務です。バカンは、そんなニーズに応えるべく、過去にも避難所入所受付のデジタル化の試みを行っており、200以上の自治体で導入されるなど、実績を上げてきました。
実証実験の概要
この実証実験は、2025年6月28日に吹田市役所で実施され、主に市職員を対象としました。検証内容は、従来の紙の避難者カードから新たに開発された「避難所マネジメントシステム」を使ったデジタル方式への移行です。具体的には、以下の方法で入所受付が行われました。
1.
アプリによるQRリーダで手続き: 避難者は専用アプリに事前登録をし、QRコードを読み取ることで手続きを行いました。
2.
Webフォームへの情報入力: QRコードをスキャンした後、ウェブフォームを利用して必要情報を入力しました。
3.
マイナンバーカードの読み取り: 避難者がマイナンバーカードをカードリーダーにかざすことで、スムーズに登録されました。
4.
従来の紙方式: 紙の避難者カードへの記入も行われ、職員がそのデータをシステムに転記して報告する旧方式も実施されました。
実証実験の結果
結果として、デジタル化された方法は、所要時間を大幅に削減しました。具体的には、アプリQR方式がわずか2秒、Webフォーム方式が4秒、カードリーダー方式が17秒に対し、従来の紙方式では68秒を要しました。この結果は、避難所入所の迅速化と、職員の業務負担軽減に繋がります。
避難所マネジメントシステムの特長
今回の実証で使用されたシステムは、地域交流推進アプリ「tami tami」をベースにしており、避難所における名簿のリアルタイム管理や混雑状況の把握が可能です。このシステムは、住民が避難所の開設状況や混雑度を確認できる機能を持っており、利便性を高めています。
- - 避難者登録: 氏名、住所、性別、生年月日を事前登録することで、簡単に手続きが可能となります。
- - 混雑状況の可視化: 収集された避難者情報をもとに、リアルタイムでの混雑状況が表示されます。
- - 電子回覧板: 地域住民とのコミュニケーションを促進する掲示板機能が搭載されており、重要なお知らせなどを配信できます。
今後の展望
バカンは、今後さらなる機能追加を行う予定で、入退所管理機能や物資の必要量管理等の実装を進める計画です。また、公共施設の予約や観光情報の提供も視野に入れて、住民一人ひとりが安心して避難できる社会を目指していきます。
会社概要
株式会社バカンは、東京千代田区に本社を構え、「人と空間を、テクノロジーで優しくつなぐ。」をテーマに様々なサービスを展開しています。今回の実証実験を通じて、新しい避難所の形を模索し続けるその姿勢は、今後の災害対策にとって非常に重要な意味を持つことでしょう。