日本企業の変革人材育成に向けたタフ・アサインメントの実態
株式会社ローランド・ベルガーが実施した「第2回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」の結果が発表されました。この調査は、変革を担う人材の育成に向けた鍵となるタフ・アサインメントが、日本の企業でどのように実施されているかを明らかにしています。特に、上場企業の経営層に焦点を当てたこの調査には、200名ものCxO・経営企画責任者の意見が寄せられました。
タフ・アサインメントの実施状況
調査によると、86%の日本企業がタフ・アサインメントを採用していると報告されています。これは、変革人材を意図的に育成するために、本人の能力を超えた挑戦的な職務に配属する取り組みを導入していることを示しています。多くの企業がこのような挑戦的な職責を通じて、変革を推進しようと努力している姿勢を伺えます。
成果を挙げるには
しかし、現実は厳しいようです。調査の結果では、実際に適切なタフ・アサインメントを行っている企業はわずか12%しかないことが明らかになりました。その背景には、社内の事情や離職リスクへの配慮が影響しており、企業は変革人材を適切に配置することができていないのです。
経営の意思決定への関与が不足
さらに、タフ・アサインメントを受けた社員の多くが、経営の意思決定に関与する機会が限定的であるため、期待される成果を実感できない事例も多く見受けられます。このことから、配属が期間限定で行われることも、変革における実績作りに追われる要因となりかねません。その結果、変革を促進するリーダーが育ちにくいという問題が浮上しています。
責任者ポジションの重要性
また、タフ・アサインメントを行う際に、責任者ポジションでの経験があると効果の実感が高まることが調査から分かりました。意思決定に関わることができる立場でなければ、変革人材が育ちにくいのです。
変革人材の偶発性と育成
調査によると、特定の人材に変革人材の候補と予測することは難しく、意外な人が変革を主導することもあります。特に課長クラスでは、その傾向が顕著であり、偶発性が高いのです。このため、さまざまな人材にタフ・アサインメントの機会を提供することが重要であるといえるでしょう。
経営者の取り組みがカギ
本調査を受けて、ローランド・ベルガーの企業変革チームの責任者は、企業が真のタフ・アサインメントを通じて実績を得られなければ、変革人材を育成することは難しいと指摘しています。また、経営層が意識的にリスクを取り、状況に合った育成策を講じることが必要だと述べました。
結論
この調査は、タフ・アサインメントの実施状況やその効果を客観的に捉えるものであり、日本の企業が未来に向けた変革にどのように取り組むべきかを考える上で非常に示唆に富んだ内容です。今後、企業がどのようにして変革人材を育成していくのか、注目されるところです。