Secured Financeが新たにJPYC関連プロダクトを発表
世界の金融市場が急速に進化する中、スイスを拠点に活動するSecured Finance AGが、日本円ステーブルコイン「JPYC」を利用した新たなプロダクト群を発表しました。本記事では、その内容を詳しく解説し、分散型金融(DeFi)が今後どのように発展していくのかを考察します。
JPYCとは?
日本円の価値を基準として1:1でリンクするJPYCは、安定した価値を持つデジタル通貨として注目を集めています。その特性を活かした新しいレンディング市場が、Secured Financeによって構築されることになりました。これにより、日本円の固定金利レンディング市場が形成され、投資家にとっては安定した利回り、借り手にとっては予測可能な金利が提供されることになります。
主な新プロダクトの紹介
1. JPYC固定金利レンディング
Secured Financeは、JPYCによる固定金利レンディングサービスを開始。これにより、貸し手は安定した利回りを獲得でき、借り手は事前に決まった金利での資金調達が可能です。このプロダクトは、2025年11月3日に初回取引が開始される予定です。
2. WBTC/ETH担保によるJPYC借入
初期段階では、WBTC(Wrapped Bitcoin)やETH(Ethereum)を担保にJPYCを借り入れることが可能です。将来的には、実世界の資産に基づく新たな信用市場を形成すべく、RWA(実世界資産)トークンを担保として利用できるよう拡充する計画があります。
3. JPYC Yearn Vault v3との連携
Yearn Financeとの連携により、JPYCを使ったVaultが開発中です。これにより、ユーザーは固定金利オーダーブックへのマーケットメイキングや、デルタニュートラル戦略を通じて、自動的に最適化された利回りを得られる仕組みが構築されます。
4. オンチェーン円金利ベンチマークの構築
Secured Financeは、JPYCレンディング市場の成熟に合わせながら、日本円金利のオンチェーンベンチマークも開発する計画です。これは、金利データの可視化により、JPYCを用いた金融の透明性を高め、将来的には信頼性のある市場指標となることでしょう。
5. JPYC x402 Facilitator
Secured Financeは、EIP-3009に準拠したx402プロトコルを通じて、JPYCによる決済システムの効率化を図ります。これにより、高額な手数料を回避し、オンラインサービスとAIエージェントが安全かつ迅速にJPYCを用いた取引を行えるようになります。
最後に
Secured Finance AG代表のMasa Kikuchi氏は、「JPYCのエコシステムを活用することで日本円金利カーブをオンチェーン化し、新しい金融インフラを構築していく」とのコメントを発表しました。日本円は国内の通貨にとどまらず、世界の金利ベンチマークとしての役割も果たすことが期待されています。
今後、Secured Financeの取り組みが新しい金融の形をどう描くのか、目が離せません。