健康経営における睡眠の重要性
三菱ふそうトラック・バス株式会社は、健康経営の一環として2025年より睡眠施策に本格的に取り組み始め、その成果を広く周知するための共催セミナーを開催しました。このセミナーでは、同社の統括産業医である小笠原氏が取り組みの背景や成果を詳細に報告しました。
健康経営における睡眠課題
今年から本格的に開始された三菱ふそうの健康経営では、「高ストレス」と「高血圧」の問題が重要な課題として設定されています。
データ分析により、睡眠がこれらのストレス要因に深く関連していることが判明し、他の健康KPIが改善を見せる中、睡眠に関する指標が達成できていないことから、重点的に取り組むべきテーマとして選ばれました。
小笠原氏は、睡眠を「メンタルヘルス」「安全」「日中のパフォーマンス」に関連する基盤的なテーマとし、この重要性を強調しました。特にトラックやバスの業務においては、睡眠不足が事故に繋がる可能性もあるため、従業員の健康管理だけでなく、安全性や生産性にも直結する課題なのです。
職場でのニーズに対応した施策
睡眠施策の第一歩として、同社は従業員を対象に睡眠に関するアンケートを実施しました。約9,000名の社員の中から約900名が参加し、睡眠に満足しているとの回答は59%にも上りました。調査結果により、従業員の職種によってニーズが異なることも浮き彫りになり、本社機能を担う従業員は「睡眠に関する知識が欲しい」との声が多く、販売業務の従業員からは「職場の環境を改善してほしい」といったリクエストがありました。これらの情報をもとに、同社は精緻な施策計画を立てています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)への先手
多くの睡眠関連課題の中でも、まず手を付けたのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)でした。安全性に関わるリスクという観点から、外部の専門機関であるニューロスペースと協力し、SASサーベイが実施されました。約2,500名もの従業員が回答し、その中から見つかったリスクを踏まえて、次の教育施策に活かしています。この調査では、「個人のプライバシー」を尊重し、会社側は結果を見ることができない仕組みを採用しました。
行動変容のための具体策
SASを含めたアンケート結果を基に、睡眠の重要性を再認識し、具体的な行動変容を促すためのセミナーも実施しました。厚生労働省のガイドラインを参考にした基礎勉強に加え、実際に日常生活で実践できる「睡眠の12の技術」が紹介されました。これにより、従業員一人ひとりが具体的な行動変容を遂げることが期待されています。
睡眠休養感の向上
施策が進む中で、睡眠休養感は59%から63.9%に上昇しました。この改善状況は、健康管理部門だけで終わらず、経営層への報告も行い、継続的な施策を支持する根拠となっています。今後も、この成果を基に策定された中期的な健康経営計画を実行に移すことが予定されています。
2026年の未来に向けて
2026年には、心理的な要素だけでなく、業務特性に応じた睡眠研修の実施も視野に入れています。これは、従業員の仕事や製造現場に特化した、さらに効果的な睡眠教育へと進化するものです。さらに、これらの施策は従業員だけでなく、その家族や関連協力会社へと対象を広げていく方針が打ち出されています。
健康施策の持続的な改善
本セミナーを通じて、小笠原氏が強調したのは「施策を単発で終わらせず、継続的に改善していく重要性」です。パネルディスカッションでは、参加者から健康施策が単発で終わらないための方法について質問があり、それに対する答えが出されました。それは、実施前の明確なゴール設定とフィードバックを受け、次の施策へと繋げていくことです。従業員と経営者双方にとって、サイクルを可視化していくことが成功の鍵となるのです。
健康づくりの文化を育む
三菱ふそうトラック・バスは、健康施策への関心を高めるためにも「楽しさ」を取り入れた取り組みが重要であると認識しています。健康関連情報を発信する「ヘルスプロモーションアンバサダー」など、従業員自身が楽しみながら健康情報を活用できる環境を整えることが、今後の文化づくりに繋がります。
今後も、ニューロスペースは企業の健康経営を支援し、持続可能な睡眠施策の実現を目指していきます。興味のある企業には気軽にご相談いただければと思います。