スマホ新法施行前に知っておきたいアプリ外決済の現状と課題
2025年12月に施行予定の「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」、通称スマホ新法。これにともない、国内のスマートフォンユーザー向けのアプリ外決済や課金の利用が如何に変化するかに注目が集まっています。特にリサーチ会社Reproが実施した「スマホ新法とアプリ外決済・課金についての消費者調査」が現状の消費者理解とニーズについて多くの示唆を与えています。
調査背景
近年、多くの人が生活の中でスマートフォンを重要視しています。総務省の「令和6年版情報通信白書」によると、国内のスマートフォンの保有率は90.6%に達しています。このことからも、スマホは私たちの日常生活において欠かせない存在となっています。しかし、スマホ新法についてのメディアでの報道は始まったばかりであり、消費者の中には十分な情報が行き渡っていない現状もあるのです。調査の目的は、この新法が与える影響と、特にアプリ外決済・課金に関する消費者の意識を明らかにすることでした。
調査結果の概要
調査では、以下のような重要なポイントが浮かび上がりました。
- - アプリ外決済・課金を認知している人は全体の38.2%であること。
- - 83.8%の消費者がアプリ外決済の金銭的メリットを理解していないこと。
- - 一番よく使われる決済手段は「クレジットカード/デビットカード(43.2%)」と「PayPay(27.7%)」であること。
- - 消費者が期待する金銭的メリットは「10%未満の割引率」であること。これは20.5%が望んでいる結果です。
- - アプリ外決済に対する心理的ハードルは「セキュリティや個人情報保護が十分か」という点にあること。
アプリ外決済の認知の低さ
多くの人が「アプリ外決済・課金」という選択肢自体について知らず、61.7%がその存在を「まったく知らなかった」と答えています。アプリ内決済に比べて、アプリ外決済の方が金銭的にお得である可能性があるにもかかわらず、そのメリットが認識されていないのが現状です。このことは、消費者として非常に興味深い現象といえるでしょう。
金銭的メリットの認識不足
アプリ外決済は通常、アプリ内課金よりも安価であったり、同じ金額でより多くのアイテムやコンテンツが得られる利点があります。しかし、83.8%の消費者はこのメリットを認識していません。これはアプリ提供者やプラットフォーマーが情報を提供する機会が限られていたことが要因ではないかと考えられます。
決済手段の選好
最近の調査で、アプリ課金に用いられる主要決済手段は、やはりクレジットカードとQR決済のPayPayがメインであることが示されました。この事実から、今後アプリ外決済を普及させる際には、QR決済の利用が鍵になるかもしれません。
消費者のニーズとハードル
さらに、アプリ外決済や課金への利用意向を高めるためには、消費者が感じる心理的ハードルを乗り越える必要があります。セキュリティが特に重要視されており、約40.3%の人が「セキュリティが心配」と応じている点は無視できません。また、課金回数が増えてしまう懸念もあるため、消費者は金銭的なメリットがあることに気づく一方で、行動に踏み切れないといったジレンマがあるようです。
まとめ
Reproの調査結果は、スマホ新法が消費者の日常生活に与える影響に対する認識のギャップを明確に示しています。アプリ外決済・課金という選択肢が存在していても、そのメリットが十分に知られていないため、アプリ事業者は情報提供に努める必要があるでしょう。適切な情報を届けることで消費者の理解が深まり、最終的にはアプリの利用拡大やビジネスの成長につながるはずです。今後は、消費者がアプリ外決済の真の利点を享受できるよう、改善を図るべき時だと言えるでしょう。