神戸市とNECが連携し生成AIで業務改革の実証を開始

神戸市がNECと協定を結び、生成AI「cotomi」を用いた新たな業務改革の実証を開始しました。この取り組みは、自治体業務の効率化を目指し、2025年1月から3月末にかけて実施される予定です。

生成AIの背景と目的

生成AIは、近年大きな関心を集めています。特に地方自治体においては、市民サービスの向上や業務の効率化が求められる中で、その活用方法が模索されています。神戸市は全国初の包括的AIに関する条例を策定し、AIの安全性と活用法を整備しています。このような取り組みの一環として、NECが開発した国産生成AI「cotomi」を活用し、業務の効率化を図ることを目指しています。

実証の内容

実証では、神戸市の保有データを活用した業務システムを構築します。特に、庁内問い合わせ応対業務や文書校正業務の効率化に焦点を当てています。具体的には、文書検索技術RAG（Retrieval Augmented Generation）を使用し、庁内からの問い合わせに迅速に対応するためのアプリケーションも構築される予定です。これは、多くの職員が関わる業務において、その有効性を検証するための重要な手段となります。

ハルシネーションへの対策

生成AIには「ハルシネーション」と呼ばれる、AIが事実と異なる情報を生成してしまう現象があります。この問題は特に専門的な業務において大きな課題となっており、AIの信頼性に影響を与えます。神戸市とNECは、この課題解決に向けてスペシャリスト向けのAIシステムの構築に取り組んでいます。今回の実証を通じて、AIの信頼性向上を図ると共に、効率的な庁内業務を実現していくことを目指しています。

具体的な業務検証

1. 庁内問い合わせ対応業務
- RAGを用いたアプリケーションの開発により、庁内からの問い合わせに対応します。これにより、国産生成AIの効果を検証し、業務の効率を向上させる狙いです。

2. 文書校正業務
- 行政文書や広報文の校正作業をAIエージェントによって支援します。これにより、文書作成規則を踏まえたより質の高い業務の実現を目指します。

将来展望

神戸市では今回の実証から得られた知見を基に、将来的な市民サービスの向上に繋げていく考えです。また、NECはこの実証を土台に、自治体向けの生成AIソリューションの本格展開を計画しています。「BluStellar」という価値創造モデルを活用し、業界に広がる課題解決のための新たな取り組みも進めていきます。