福岡県自治体向け生成AI活用ワークショップの成功と今後の展望

福岡県自治体向け生成AI活用ワークショップの成功

2023年、福岡県の市町村職員を対象に実施された生成AI活用ワークショップの模様が注目されています。この企画は、アンドドット株式会社が主導し、福岡県市町村職員研修所で行われました。参加したのは、15市11町村からの計26団体、41名の自治体職員です。この研修は、自治体のデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進するための重要な一歩となりました。

地元自治体のAI活用への期待

近年、自治体の業務にAIツールが導入されているものの、実際にその効果を感じている場面は少数派です。多くの職員が「どのようにAIを活用すればいいのか」と悩んでいる中、このワークショップは参加者一人一人が「AIをどう活用したら良いか」を探究する貴重な機会となりました。

研修の目的と内容

ワークショップの主な目的は、職員がAIを普段の業務で存分に使えるようになることです。このため、アンドドットの「AIスキルピラミッド」に基づき、システマティックにプログラムが構築されています。単なるツール紹介ではなく、実務に役立つ知識や具体的な事例が豊富に提供されました。

アイデア創出のプロセス

ワークショップでは、参加者自身が「どの業務をAIに任せるべきか」を議論し、具体的な活用シーンを洗い出すアイデア創出ワークショップが行われました。この過程で、業務の効率化や住民サービスの向上に向けた多岐にわたる具体的なアイデアが生まれました。以下は、特に盛り上がったトピックです：

- 文章作成や周知文の作成：住民へのお知らせやメールの作成業務をAIに任せることで、職員の負担を軽減。
- マニュアルやガイドの作成：引書や災害マニュアルなどを迅速に作成し、現場対応の質を向上させる。
- 企画やアイデア立案：イベントや講座などの企画書をAIがサポートすることで、職員の創造性を引き出す手助け。

ワークショップの成果

参加者からは高い満足度が表明されました。ワークショップ終了後のアンケートでは、参加者全員が内容に満足し、満足度は100%を達成しました。また、大多数の参加者が、「ワークショップの内容は丁度良かった」と回答しました。このフィードバックは、研修内容が効果的であったことを示しています。

定性的な成果

自由記述の回答では、職員たちが生成AIの概念をより明確に理解できたとの声が多く寄せられました。「講師の説明が分かりやすく、今後の業務に活かしたい」という意見や、上司が否定的だったものの、研修を受けて活用への意欲が高まったという感想もありました。

課題と今後の展望

しかし、こうした成功にもかかわらず、課題は残る現状です。アンケートによると、70.7%の職員が「庁内でのAI活用が進まない」という問題を認識しているとのこと。生成AIの「導入」から「実務への定着」までが自治体DXにおける最大のブロックとのことです。

アンドドットは、このような課題を克服するため、今後も自治体向けの生成AI活用ワークショップを展開し、実践的な人材育成に取り組むことを明言しています。このプロセスを通じ、地域社会全体のAI活用能力を一層引き上げることを力強く支援していく考えです。