高校生1000人調査、性教育の現状と性的同意の理解促進へ
国際NGOプラン・インターナショナルと連携して活動するプラン・ユースグループが、2024年12月に日本の高校生1,000人を対象に「性的同意」に関するアンケートを実施しました。この調査は、教育現場における性教育の現状を把握し、克服すべき課題を浮き彫りにすることを目的としています。調査から明らかになったのは、若者たちが性的同意についての学びを求める声が多く、性教育の重要性が改めて強調されているという点です。
調査概要と目的
調査は、日本在住の15歳から18歳の高校生を対象に行われ、2024年12月の初旬に実施されました。470人の女性と229人の男性から集めたデータを分析することで、今の高校生が性的同意について何を知っているかを浮き彫りにすることが狙いです。特に、2023年に施行された刑法改正を受け、同意のない性行為が犯罪と見なされるようになったことが背景にあります。これに伴い、「生命(いのち)の安全教育」としての性教育が重要視されてきましたが、その実態がどのようになっているのかを確認する必要がありました。
学生の認識と実態
調査の結果、68%の生徒が「性的同意」について「知らない」もしくは「聞いたことはあるが説明できない」と回答しています。これは、教育現場での性教育が十分に行われていない現状を示しています。一方で、63.9%の学生は学校で性的同意について学んだと答えています。しかしその多くが知識を生かせていないのが現実です。
さらには、78%の高校生が「性的同意」についてもっと学校で教えてほしいと願っています。生徒たちが求める理由としては、「正しい知識を身につけたい」といった理由が高い割合を占め、また「自分や他者を大切にしたいから」という意識も伺えました。これからの性教育の場として学校は最も適した環境と見なされていることがわかります。
提言と今後の方向性
調査結果を受けて、プラン・ユースグループは高校生同士が互いに尊重し合える学びの場を構築することを提言しています。その中での教育機関に対する要望としては、具体的には生徒と教員が共に学べるプログラムの実施、外部からの専門家による指導の導入、安全な相談窓口の整備が挙げられています。これにより、包括的な性教育を学校教育に落とし込むための基盤が整うことを求めています。
また、政府や教育委員会に対しては、性教育の強化や予算の拡充、教員研修の義務化を訴えています。意見を寄せた大学生たちも、自らの経験をもとに性教育の質を向上させるべきタイミングだと実感しています。このような気持ちが、調査結果を通してより良い教育のための変化を引き起こすことが期待されています。
結論
性的同意についての理解を深めることは、若者たちの未来をより豊かに、より安全にするための鍵です。プラン・インターナショナルは、約80カ国で活動し、若者を支援し続けています。この調査を契機に、今後の性教育が実質的に充実し、学生たちが安心して学べる環境が整うことを願ってやみません。今後のテーマとして、教育機関と政府の協力がいかに実を結ぶのか、注目していく必要があります。