オムロンがiCAREを完全子会社化
オムロン株式会社は、コーポレートヘルス事業を本格始動させるため、株式会社iCAREの全株式を取得する株式譲渡契約を締結したことを発表しました。これにより、オムロンはiCAREを完全子会社とし、企業の人的資本の向上に寄与する健康経営を推進することを目指しています。
健康経営の重要性
近年、日本の企業は従業員の高齢化や人手不足という課題に直面しており、従業員の健康を促進することが、企業の生産性向上や健保財政の改善に大きな影響を及ぼしています。このような背景から、経営視点で戦略的に健康増進に取り組む「健康経営」が注目を集めています。
オムロンはこれまでデータを活用した健康経営のソリューションを提供してきましたが、2024年7月にiCARE社と資本業務提携契約を締結し、今回の完全子会社化に至りました。これにより、iCAREが持つ従業員の健康データや産業保健の専門知識を活用することで、さらなる事業の加速を図ります。
iCAREの役割
株式会社iCAREは「働くひとの健康を世界中に創る」を掲げており、産業保健や健康経営に関するソリューションサービスを提供しています。従業員数は128名(2025年7月末時点)で、業界内で高い評価を得ています。オムロン傘下でのiCARE社の役割は、健康データの最前線を担い、企業の健康課題解決に向けたソリューションを提供することです。
新たなサービスへの取り組み
オムロンは2023年6月に健康経営アライアンスを立ち上げ、データに基づいた健康経営の普及と実践に取り組んでいます。コーポレートヘルス事業部では、健康課題の特定から改善策の提案まで幅広く行い、企業の生産性を向上させるサービスを開発しています。
今後、iCARE社の取り込みにより、これまでのノウハウを活用した新サービスの開発が進められ、2026年度のサービス提供開始を目指しています。具体的には、11月からデータ分析の実証実験を開始し、企業の健康課題を従業員個人の健康課題へと拡大していく方針です。
この新サービスによって、従業員の健康状況を定期的に把握することが可能となり、企業はより健康的で生産性の高い職場環境を整備することができるでしょう。
JMDC社との連携強化
また、オムロンはグループ会社である株式会社JMDCとの連携を強化し、JMDCが持つ健康保険領域の分析技術を活用することにより、新たな事業展開を目指しています。これにより、データソリューション事業のさらなる拡充が期待されます。
オムロンの将来
オムロンは1933年に創業以来、センシングとコントロール技術を基盤に、さまざまな事業を展開してきました。現在では全世界約2.7万人の社員を抱え、130ヶ国以上で商品とサービスを提供しています。
今後も健康経営を通じて、よりよい社会の実現に向けた取り組みを強化し、オムロンの長期的なビジョンである「健康寿命の延伸」の実現を加速させていくことが期待されます。