九州柳河精機がデジタル化を進めた現場効率化の成功事例
九州柳河精機株式会社が現場帳票システム「i-Reporter」を導入し、工場の業務をデジタル化。170ライン以上の作業日報や200メートルの塗装ラインの進捗管理の効率を飛躍的に向上させました。この取り組みの結果、従来の紙ベースからデジタルプラットフォームへの移行によって大幅な工数削減が実現し、経営全体のカイゼン速度が向上しました。
背景と課題
九州柳河精機は1976年に設立された自動車部品メーカーで、アルミの鋳造から塗装・組み立てまで一貫した製造プロセスを強みとしています。しかし、作業の多くが紙で行われているため、以下のような課題に直面していました。
- - 作業日報の取りまとめや集計に1日6時間を要していた
- - 塗装ラインの進捗を把握するのに時間がかかり、次工程の準備に影響を及ぼしていた
- - 備品払い出しの入力と月次集計に毎月2.5時間費やしていた
- - 23カ所の変化点管理板の写真保存に毎日1時間が必要だった
これらの課題を克服するため、2021年に「i-Reporter」の導入を決定し、kintoneおよびkViewerとの連携を通じて業務のデジタル化を進めました。
i-Reporter導入の効果
「i-Reporter」は、現場の特性に合わせた自由な入力が可能なツールで、さまざまなデータを効率的に収集することを目指しています。以下に主な導入効果について記載します。
1. 作業日報の効率化
190ライン分の日報をゼロに抑えることに成功しました。iPadを用いた入力データが即座にkintoneに連携されるため、管理者や他部署が稼働状況をリアルタイムで把握できるようになりました。
- - 効果: 日報処理の時間をゼロに削減
- - 成果: 情報共有が当日中に行えるようになり、改善活動のスピードが大幅に向上しました。
2. 塗装吊り掛けラインの進捗把握
200メートルの塗装ラインも、手書き日報からリアルタイムデータへと進化しました。これにより、次工程担当者が手元で進捗状況をリアルタイムで確認できるようになり、作業準備もスムーズになりました。
- - 効果: 塗装ラインの進捗を即時に把握可能
- - 成果: KPIの視覚化により、作業効率の改善サイクルを加速することができました。
3. 備品管理の効率化
月2.5時間かかっていた備品払い出しの入力が完全にゼロになりました。i-Reporter内で簡単なデータ入力をするだけで、即座にkintoneに連携される仕組みです。これにより、コスト意識も高まり、無駄な発注が防止されています。
- - 効果: 入力・集計作業をゼロに削減
- - 成果: 単価の見える化により、現場のコスト意識が大幅に改善されました。
4. 変化点の管理効率化
23ヵ所の変化点管理板の写真保存作業も効率化され、毎日1時間の業務が不要になりました。i-Reporterを使って必要な日付や場所を選ぶことで、写真が瞬時に所定のフォルダに保存され、現在の状況をすぐに把握できるようになりました。
- - 効果: 写真整理時間を大幅短縮
- - 成果: 品質管理や改善活動が迅速に行える環境を整えました。
今後の展望
九州柳河精機の現場におけるデジタル化の成果は、単なる業務効率の改善に留まらず、企業文化や現場の意識向上にも寄与しています。今後は、更なる課題発掘と業務改善を進めるために、シムトップスのソリューションを活用し、持続的な発展を期待できます。
会社情報
九州柳河精機株式会社
- - 設立: 1976年
- - 本社所在地: 熊本県菊池市旭志川辺1106-1
- - 事業内容: 輸送用機械器具の製造
- - 主力製品: アルミダイカスト部品の製造
デジタル化の波が進む現場で、九州柳河精機の取り組みが今後どのような成果を生み出すのか、引き続き注目していきたいと思います。