再生可能エネルギー最適制御技術の実証によるCO2削減
東京・千代田区を拠点とするパシフィックコンサルタンツ株式会社が、再生可能エネルギー発電における新たな制御技術の開発を進め、2025年2月に福岡市で実証事業を成功裏に計画しました。これにより、時間帯別のCO2排出係数に基づく発電の最適化が実現し、実際にCO2削減効果を定量的に評価することに成功しました。
事業の目的と技術概要
本プロジェクトは、環境省のカーボンニュートラル技術開発・実証事業の一環として、パシフィックパワーが主導し、パシフィックコンサルタンツが共同で参画しました。電力系統内のCO2排出量は時間帯ごとに変動し、特に再生可能エネルギーが多く利用される晴天時には排出量が低下します。これに対して、CO2排出係数を独自に算定・公開し、実際の発電状況により最適な運転を行うことが可能になりました。
たとえば、下水処理場から生成されるバイオガスを用いた発電システムで、CO2排出係数の高い時間帯に発電を行うことで、電気の生産効率を高めることができます。これにより、環境負荷の軽減に寄与しながら、電力の安定供給も確保しています。
実証事業の概要
実証事業は福岡市の中部水処理センター内に設置された福岡中部発電所を対象に行われました。この施設は、固定価格買取制度(FIT制度)を用いて全量売電を行っており、今回開発されたシステムにより、前日までに予測されたCO2排出係数に基づいて発電を制御することが実現しました。
具体的には、発電機に指令を送信し、ガスホルダを利用して発電タイミングを調整することで、効率的なエネルギー利用を図っています。これにより、発生した消化ガスを最大限に活用しつつ、発電の時間を最適化することができました。
結果と今後の展望
実証事業の結果、売電電力量はCO2排出係数と高い相関を示し、発電した電気のCO2削減効果は約5%向上しました。また、電気の経済的価値も評価され、売電収入が約7%増加することが確認されています。これらは、再生可能エネルギーの導入促進に寄与するとともに、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となりました。
パシフィックコンサルタンツでは、今回開発したシステムを全国のバイオガス発電設備に展開する計画を進めています。特に、この技術は下水汚泥だけでなく、食品廃棄物や畜産由来のバイオガス発電にも応用可能です。また、今後は自家消費施設への拡大も視野に入れています。
会社について
パシフィックコンサルタンツ株式会社は、1951年に創立以来、70年以上にわたってインフラの整備に関わり続けてきた企業です。持続可能な社会の実現に向けて、「未来をプロデュースする」というビジョンのもと、新たな価値を創造し続けています。