物流倉庫のデータ活用実態調査:DX推進の現状と課題
株式会社KURANDO(本社:東京都品川区)が行った「物流倉庫のDX推進におけるデータ活用実態調査」により、物流部門や倉庫管理部門でのデータ活用の現状が浮かび上がりました。調査の結果からは、物流業界内で大きな変化をもたらす可能性が秘めたデータ活用の実態が明らかになりました。
背景
2024年を控えた物流業界は、深刻な人手不足や業務効率化の必要性に直面しています。こうした背景から、多くの企業は物流倉庫のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に取り組んでおり、データの「見える化」が進んでいます。IoT機器やWMS(倉庫管理システム)を活用して、庫内の様々なデータを収集し、業務改善につなげる努力が続けられています。しかし、取得したデータをできていない企業も多く、その課題は何か、今回の調査で探っていきます。
調査結果の概要
調査では、企業の物流部門・倉庫管理部門で働く管理職162名を対象に、データ取得の状況やその活用方法について具体的に尋ねました。以下に、主な結果をまとめます。
- - 約65%の企業が物流倉庫で庫内状況のデータを取得
- - 主なデータ取得内容は「在庫データ」と「入出荷実績データ」
- - 約25%の企業がデータを活用できていない
- - データ活用による業務改善は「誤出荷や事故の要因分析」が最も多い
データ取得の実態
調査によると、物流倉庫でデータを取得している企業は全体の64.8%で、主なデータとして「在庫データ(74.3%)」「入出荷実績データ(61.0%)」「配送関連データ(59.1%)」が挙げられました。すなわち、企業はデータの収集は行っているものの、実際に業務改善につなげる部分で課題を抱えていることが見て取れます。
データ活用の課題
データを活用できていない約25%の企業は、具体的にどのような課題があるのかも明らかになりました。主な障壁は以下の3つです。
1.
データ分析を行う時間の確保
- 約48%の企業がこの点を課題として挙げています。余裕のない業務が続く中、分析のための時間を持つことは難しいのが実態です。
2.
データ分析をし、活用できる人材の不足
- 専門的な知識を持つ人材が足りていないという声も共通して聞かれました。
3.
現場に役立つ仕組み(ツール)の不足
- 36%の企業が、データをうまく活用できるためのツールの不足を感じています。
具体的な業務改善の内容
データを活用している企業が行っている業務改善の最上位には「誤出荷や事故の要因分析・再発防止」が61.3%と多くの企業が実施していることがわかります。続いて「在庫配置の最適化」が56.3%、そして「配送ルートや積載率の改善」が50.0%という結果が得られました。これらの改善策に取り組むことで、データ活用企業は明らかな効果を実感しています。
得られる効果
実際にデータを活用し、業務改善に取り組んでいる企業が感じる主な利点は、「作業ミスの減少(70.0%)」や「生産性の向上(66.3%)」、さらには「コスト削減(61.3%)」といったものです。これにより、企業は物流の精度を上げつつ、効率的な運営を実現しています。
まとめ
今回の調査で明らかになったのは、約65%の企業が物流倉庫でのデータ取得を行っているものの、約25%の企業がその利用に課題を抱えているという点です。具体的には、データ分析や人材、ツールの不足が主な障壁であり、企業は今後これらの課題解決に取り組む必要があります。KURANDOは、こうした課題を解決するためのツールを提供し、生産性向上と効率化を支援しています。今後ますますデジタル化が進展する中、物流業界においてDX推進はますます重要なテーマとなるでしょう。