有楽町線延伸がもたらすマンション市場の波紋
近年、東京の交通インフラ計画の一つとして有楽町線の延伸が注目を集めています。この延伸計画では、豊洲駅から住吉駅までの約4.8キロメートルを2030年代に延伸する予定です。このプロジェクトは、東京の交通利便性を向上させるための重要なステップとして位置付けられています。
有楽町線延伸の概要
有楽町線の延伸は、主に以下の二つの目的から進められています。
1.
利便性の向上
住吉駅周辺は、他の路線への接続が乏しく、交通アクセスが悪いため、有楽町線の延伸により住吉駅から東京中心部へのアクセスが改善されることが期待されています。
2.
交通の分散
東京メトロの他の路線やJRの混雑を緩和し、通勤・通学時のストレスを軽減する効果が見込まれています。
図1は延伸部分を示しており、その効果に不動産業界も強く関心を寄せています。
住吉駅周辺の中古マンション相場
相場の推移を読み解く
最近のデータから、住吉駅周辺の中古マンション価格は高騰しながらも、その動きに踊り場感が見られます。具体的には以下の三つの要因が挙げられます。
- - 中古マンション価格は日経平均と連動しており、株価の上昇がマンション価格の上昇を促してきました。
- - 低金利の住宅ローンが購入需要を押し上げ、さらなる価格高騰を招いています。
- - コロナの影響で中古マンションの供給量が減少し、需要の増加が価格を押し上げた側面があります。
豊洲駅周辺の中古マンション相場
一方、豊洲駅周辺の相場は依然として高騰し続けています。これは先に述べた三つの要因に加え、湾岸タワーの需要が特に高いためです。需要に対して供給が追い付かない状況が続いていることが、さらなる価格上昇の背景となっています。
有楽町線延伸による影響
有楽町線の延伸によって、沿線エリアのニーズが高まり、既存の駅周辺、特に住吉駅・東陽町・豊洲駅のマンション相場が引き上げられることが予想されます。特に豊洲エリアは独自の湾岸タワー市場を形成しており、一概に価格動向を予測することは難しいですが、全体としてはプラスの影響が期待できるでしょう。
新駅「仙石駅(仮)」・「枝川駅(仮)」周辺の相場予測
新駅が開設されることにより、東側の仙石駅周辺の価格は2024年においても横ばいの傾向が見られます。このことから、仙石駅の東側で駅近物件がむしろ割安になる可能性が高いとされています。
また、枝川駅周辺に関しては、2024年には高騰することが予想されますが、同時に隣接する東陽町駅や豊洲駅ほどの急騰は見込まれていないため、比較的割安なエリアとなるでしょう。
筆者プロフィール
福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社・データ事業開発室 不動産データ分析責任者
早稲田大学理工学部経営システム工学科を卒業後、大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所にて法務・労務に従事し、現在はマンションリサーチで不動産市場の調査および評価指標の研究・開発に取り組んでいます。データ分析の専門性を生かし、不動産関連の情報を提供しています。
最後に
有楽町線の延伸による周辺エリアの変化は、今後のマンション市場にも大きな影響を与えるでしょう。今後も引き続き市場の動向に注視し、最新情報をお届けしていきます。