不動産業界の「囲い込み」が2025年から処分対象に: 新制度の影響と期待

近年、不動産業界では「囲い込み」という問題が深刻な課題として浮上しています。2025年1月から、国土交通省が宅地建物取引業法施行規則の改正を施行し、この囲い込み行為が処分対象となることが決まりました。この改正に伴い、不動産売買仲介業者を対象に実施したイタンジ株式会社の調査結果が注目されています。

背景と囲い込みの定義

「囲い込み」とは、特定の宅建業者が自社の利益を優先し、売主や買主の意向に反して物件の取引状況を隠蔽したり、紹介を妨げたりする行為を指します。このような行為により、取引の透明性が損なわれ、売主や買主の利益が失われる可能性があります。

イタンジは、実際に不動産業者205人を対象にした調査から、「囲い込み」について知識があると答えた人の57.6%が、過去に「囲い込み」を受けたり、人から聞いたりした経験があると回答しました。これにより、この問題が業界内に広く存在し、取引体験にも悪影響を及ぼしている実態が浮き彫りになりました。

調査結果から見えた現状

調査結果では、囲い込みの影響を受けたと答えた不動産業者の66.1%がその後特に何の対応もしていないと述べています。このことは、過去の法律では囲い込みが処分対象となっていなかったため、解決策が見出せなかったことや、慣習化しすぎて問題視しづらい状況が背景にあると考えられます。なお、77.1%が「囲い込みは不動産業界の課題だ」と認識していることから、問題に対する意識の高さが伺えます。

法改正への期待と懸念

また、今回の法改正に対する評価は78.1%に上り、「不動産業者としての公平性が保証され、媒介契約の依頼者にとっても機会の損失を防げる」との意見が多く寄せられました。しかし、一方で「抜け道が存在する」との懸念も指摘されています。

今回の法改正が取引の活性化につながると考えているのは52.2%で、半数以上の業者が期待を寄せていますが、同時に45.9%が懐疑的であることも明らかになっています。このコントラストは、取引の透明化にはさらなる改善の余地があることを示唆しています。

透明性向上に向けた取り組み

このような背景の中、イタンジは「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」ことを企業のミッションに掲げ、不動産取引の透明性向上に努めています。業界のインフラを整備し、すべての人が安心して取引できる環境を提供することを目指しています。

今後も不動産業界には様々な課題が残されていますが、法改正を機に、より健全で透明な取引環境が形成されることに期待が寄せられます。