クリタとFREDsenseがPFAS濃度測定技術で連携
栗田工業株式会社(以下、クリタ)は、カナダのFREDsense Technologies Corp.(以下、FREDsense)と協力し、PFAS濃度測定用のモバイル分析キット「FRED-PFAS™」を水処理装置に導入する取り組みを進めています。このプロジェクトは、環境保護と水の管理という視点から、ますます重要性を増しているPFAS問題への対応を目的としています。
PFASとは何か?
PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質)は、人工的に製造される有機フッ素化合物の総称で、耐水性や耐熱性に優れ、多くの産業で広く使用されています。しかし、その一部には発がん性や子どもの成長への影響が指摘されるなど、有害性の疑いが持たれています。このため、特に欧米ではPFASに関する規制が強化されつつあり、日本でも2026年度から水道水の水質基準を設定し、定期的な検査が義務付けられる見込みです。
水質監視のニーズの高まり
このような背景から、PFASを含む水や排水の濃度を迅速に測定する必要性が高まっています。多くの業界では、工場などでの用水や排水が管理され、PFASを含む実排水の測定が求められています。クリタグループは、PFASの影響を水と環境に関する社会的な問題と捉え、その分析や処理に関する情報提供を行っています。
FRED-PFAS™の導入
クリタとFREDsenseは、PFAS濃度測定用モバイル分析キット「FRED-PFAS™」の導入を通じて、精度の高いPFAS測定を実現しようとしています。このキットは、あらかじめサンプルを送って分析する従来の方法とは異なり、数時間で結果を得ることができるため、これまで2~3週間を要していた分析を大幅に短縮することが可能です。
本キットは、実際の排水をサンプルに使用して高い分析精度を実証することができ、操作も簡単で堅牢性にも優れています。これは、PFAS管理の現場において、迅速かつ正確なデータを提供し、効果的な水質管理を支援するものです。
今後の展望
今後、クリタはFREDsenseとの協力を深め、これまでの分析結果を基に、両社の技術や知見を融合させて水処理装置へのキットの実装を推進していきます。これにより、市場におけるPFAS濃度測定の普及を目指し、持続可能な社会の実現に寄与したいと考えています。クリタグループは、創業以来の水関連のノウハウを駆使して、新たな技術やビジネスモデルを創出し、水と環境に関する社会の課題解決に貢献することを目指しています。
参考写真
- - PFAS濃度測定用モバイル分析キット本体
- - 本キットを用いた分析作業の様子
結論
PFASの測定は今後の水質管理において重要な役割を果たすことが期待されています。クリタとFREDsenseの連携による新技術の導入が、未来の水環境に新たな価値を提供し、持続可能な社会の実現に寄与することを願っています。